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地方都市の「ファスト風景化」勝手に憂う人の病理 車なしで暮らせる都会人の「一方的な郷愁」だ

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 13時30分

問題は、そうした都市の変化を、「ファスト風土」批判者たちが身を持って実感していない、ということだ。そしてそれは、そうした批判者たちだけではないと思う。私たち自身だってそうだ。

どうしても都市というと「面」的に広がるものを思い浮かべてしまう。だからこそ、郊外のショッピングモールやらチェーンストアやらがたくさん立ち並ぶ「線」的な景色を見ると、どこか想像していたものとは異なるような、居心地の悪さを感じてしまうのではないか。

たぶん、私たちがいつも「ファスト風土」批判を繰り返してしまう理由は、この都市の「面」から「線」へ、というモードの変化についていけていないからなのだと思う。

「ファスト風土」は「メディア」の問題でもある

実はこれまで語ってきたような問題には、もう少し複雑な話も絡んでいて、それがメディアの問題だ。

私たちの都市のイメージは、どうしたってマスメディアの影響を受ける。で、都合が悪いのは、それら大手のマスメディアの多くが東京に集まっていること。だからマスメディアの都市観が必然的に東京中心主義になる。

先ほども書いたが、「駅前商店街が寂れている風景」を映し出して地方が衰退していると嘆くことしかできないのは、明らかにテレビが東京中心都市観で動いているからである。

柳瀬博一も指摘するが、テレビ東京の「アド街ック天国」では常にその「駅」が紹介されている。でも、地方にも、人が集まっている場所はある。それが、ショッピングモールであり、街道沿いのさまざまな店である。

もちろん、だからといって、地方は衰退していない、などと言うつもりはないし、それぞれの地方固有の問題はあるだろう。でも、明らかに「駅前」的な都市観(そしてそれは東京中心の都市観と同じ!)が、私たちの都市観に与えている影響は大きい。

今回の一件のはじまりがXだったように、今はSNSなどの小さなメディアも広く普及している。だからこそ、このような素朴な「ファスト風土批判論」が出てきたときに、それに反対する意見も出てきている。それはたぶん、身をもって、都市の変化を実感しているからであろう。

こうした「ファスト風土」批判は今後どうなっていくのか。予想はつかないが、一つだけ言えるのは、私たちには(もちろん自分自身への自戒も込めて!)、「自動車」時代の新しい都市の形に慣れていくレッスンが必要だということである。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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