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韓国がついに伝統の「犬食禁止」踏み切った事情 「伴侶動物」という考え方が伝統も変えている

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 12時20分

犬肉を食べる文化に疑問の声が現れ始めたのは、1988年前後のことである。1988年にはソウルでオリンピックが開かれた。オリンピックの開催地韓国に犬肉を食べる慣習があることが国際社会に広く知られ、海外から厳しい目が向けられた。

こうした批判をかわすため、オリンピック開催期間中、開催都市であるソウル市で「補身湯」の販売を禁止する臨時の政策を講じたが、「補身湯」がなくなることはなかった。

一方、オリンピックを機に、韓国国内でも動物保護に関する認識が高まり始め、1991年には「動物保護法」が成立する。しかし、犬肉は「伝統の食文化」として、保護の対象には含まれなかった。

むしろ、1999年には保守系野党議員が犬肉を畜産物として扱い、事実上犬肉を合法化する法案が国会に提出されると、これまで潜在していた犬肉に対する反対世論が急激に増え、ペットに対する意識も変わっていく。

韓国の農林水産食品部は毎年「動物保護に関する国民意識調査」を実施し、結果を公開している。2018年の調査には興味深いデータがある。

2010年からのビッグデータを分析した結果、2014年を境目に「愛玩動物(ペット)」という言葉より「伴侶動物(Companion Animal)」という言葉が多く使われるようになったことがわかった。2010年492件だった伴侶動物という表現は、2018年には27倍に増加し、愛玩動物に取って代わった。

「愛玩」にはおもちゃのように遊べて、所有するものという意味合いが強い。しかし、今のペットは、飼い主が精神的に頼れる家族のような存在になっている。「人間のパートナー」だ。こうした意味で韓国では伴侶犬や伴侶猫という言葉が使われている。韓国や日本では伴侶動物と訳される。

「動物権」という概念も広がっている

1月8日に公開された「2023犬肉食に関する国民意識調査」によると93.4%が「犬肉は食べるつもりがない」と答えた。また、53.5%が犬肉を食べない理由として「心理的な抵抗」と答え、伴侶動物という認識が影響を与えていることがわかる。

さらに、韓国社会には「動物権」という概念も広がっている。2022年には「動物園及び水族館の管理に関する法律」が改定された。来園者が動物を触る、動物に乗る、餌を与えるなど動物にストレスや苦痛、恐怖を与える展示を禁止にした。イルカショーなどは韓国でみることができなくなった。

こうした認識の変化が、30年以上続いてきた犬肉食をめぐる論争に終止符を打ったのだ。

朴眞煥:報道番組ディレクター、ジャーナリスト

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