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AIによる創作とわかると評価が下がることの意味 クオリティ以外にも評価に影響を与える要素

東洋経済オンライン / 2024年1月18日 19時0分

AIがより身近になったことで変化していくものがあります(写真:metamorworks/PIXTA)

最近では、生成AIが人間の創作に匹敵、もしくは凌駕するレベルのコンテンツを生み出すようになってきました。生成AIは、大量のデータからパターンを学習し、新しいものを創造することができます。

一方で、人間の著作権や倫理観と対峙することもあるでしょう。東大・松尾研究室所属のAI研究者・今井翔太氏が上梓した最新刊『生成AIで世界はこう変わる』より、AIの可能性と問題点についてご紹介します。

素人にもイラスト制作の依頼がくる時代に?

「『生成AIで日本の未来を切り拓く』というイメージのイラストがほしいです」

2023年7月のある日、突然電話がかかってきました。

東京大学にて、内閣総理大臣をはじめとする政府高官、財界の大物、東京大学総長などの学界関係者が出席する生成AIに関するシンポジウムの開催が予定されていました。そのシンポジウムに関する特設サイトを作成するうえで、サイトを飾るイラストがほしいという話です。

普通であれば、どう考えても私ではなくプロのイラストレーターに頼むべき仕事に思われますが、生成AIというテーマに絡めて、生成AIを用いたイラストがほしいということでした。

私は研究上の目的と個人的な趣味から、日常的に生成AIツールを使って画像を生成しています。結果的に、私は翌日の夜までに生成AIを使ってイラストの候補をいくつか作成し、無事納品することができました。

このエピソードは生成AI登場以降の文化芸術や創作活動について、特筆すべき要素をいくつか含んでいます。

①特別な創作能力がない人間にも、質の高いコンテンツを生み出せるようになった

②「AIによって作成されている」ことが意味を持つ、あるいはAIによって初めて成立する文化コンテンツが生まれる

ところで、先ほどのエピソードにはちょっとした続きがあります。シンポジウムのための画像生成でアレコレ試したこともあり、自信がついて調子に乗った私は、生成イラストを公開したらどうなるか気になり、Twitter(現Ⅹ)にいろいろと投稿してみました。

その結果はさっぱりで、閲覧数はまったく伸びず、「いいね」もつかない。そもそも生成AIを用いて、自分の意図に沿った内容かつ公開に堪えうる質のイラストをつくるのは意外と難しく、投稿の頻度も思ったほど上がりません。

「AIイラスト」というマイナスイメージ

生成AIの登場後は、誰でも一定以上のクオリティの作品を生成・投稿できるようになっている状況もあり、埋もれてしまって見向きもされませんでした。

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