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意外と知らない「推し」と「萌え」決定的な違い 情報革命でファンの在り方は大きく変わった

東洋経済オンライン / 2024年1月18日 17時0分

2011年に東日本大震災が起こった時、SNSは新しいメディアとして注目され、より多くの人がTwitterやFacebookなどを使い始めました。そのとき重視されたのは「いいね」ではありません。

「リツイート(現在は「リポスト」)」や「シェア」が情報や意見を広めるうえで効果的であることが分かり、自分たちの意見を代弁してくれるように思えるアカウントを推したり、良くないと思われる人を批判してくれる人を推したりする手段になり得ることを、新規のユーザーたちも肌で感じ取ったのではないでしょうか。

そうやって私たちは、SNSが「いいね」のやりとりや承認欲求を充たすのに適しているのと同じかそれ以上に、リツイートやシェアをとおして何かを広めること、誰かを応援することに適していることを学んでいったのでした。

SNSありきで作品を楽しむ傾向の強まり

映画『シン・ゴジラ』や『君の名は。』はSNSでのバズをとおして大ヒットした作品でしたし、この頃から、ファンが繰り返し映画館に足を運んで応援するさまをSNSでよく見かけるようになりました。

クリエイターはSNSでの拡散をあてにして作品をつくるようになり、インフルエンサーもリツイートやシェアをとおして影響力を獲得できるよう計算した文章や写真や動画を投稿しました。消費者やファンも、SNSありきで作品を楽しむ態度やリツイートやシェアを楽しむリテラシーを身に付けていきました。

SNSの普及と慣れが「推し」がブームになっていく下地として重要だったのは、ほとんど間違いないでしょう。もちろんSNS以前にも私たちは野球チームやサッカーチーム、ひいきの歌手やバンドを応援することはできました。でも、SNS以前の社会で「推し」を推す手段が限られていたのも、また事実です。

リツイートやシェアはそうではありません。試合会場や映画館の盛況ぶりを遠くの人とも共有できますし、自宅にいてさえ、試合会場や映画館にいる人の投稿をリツイートやシェアで広めることもできます。

売り上げや視聴率と違って、リツイートやシェアはどれだけみんなに読まれたのか、どれだけみんなに広まったのかが眼の前で可視化されるので、「推し」を推す手ごたえをその場で体感するのにも優れていました。

推し活には「つながり」がある

1人で推すしかなかった人も大勢と一緒に推せるようになり、今までは試合会場や映画館に通うか、CDやグッズを買うしかなかった推し活に新しい選択肢を与えてくれたのがインターネットによる情報革命、なかでもリツイートやシェアといったSNSの共有機能なのです。

映画を観て感動した、だけどそれをメッセージにするすべのない人も、過疎地に暮らしていて周囲にファン仲間がいない人も、リツイートやシェアをとおしていつでも推し活に参加でき、他のファンと繋がり合えるようになったわけですから、ファン活動のまさに革命だったというほかありません。

こうして推し活は以前よりも多人数が集まりやすく、手軽になり、あらゆるジャンルで大規模に行われるようになりました。リツイートやシェアをとおして生まれたバズは数値化されているので、マーケター側はその数値をもとに売り上げを予測することも、バズのフックを仕掛けてSNS映えさせ、売り上げを伸ばすこともできます。

SNSをとおして大きく広がった推し活は、こうしてコンテンツの送り手からも受け手からも歓迎され、急速に広がっていったのでした。

熊代 亨:精神科医・ブロガー

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