レゴランド炎上、冷静に見て何がマズかったのか 「初動対応」を見誤ってしまう企業側の盲点
東洋経済オンライン / 2024年1月19日 19時40分
SNSの普及により、個人の情報発信力は強くなったが、それでも大企業や経営者のほうが発信力は強い。その非対称性は十分に理解しておく必要がある。
批判が起きた際、あるいは今後批判が起きることが想定される事象が発生した際に、「何らかの情報発信をしたいのだけど」といった相談を受けることがある。どのタイミングで、どのやり方で、どういう情報を発信すればよいのか? については、高度な判断が求められる。
リスク発生の初期段階では、情報が拡散してしまう可能性を鑑みて「いまのタイミングでは何も発信しないほうがよいです」と助言することも多い。「何もしない」ということではなく、事件への対応を迅速に行って鎮火させることを優先するということだ。
松本人志氏の性加害疑惑に関して書いた前の記事で、松本氏がSNSへの投稿を行うのは望ましくないということを書いたのも、同じ理由からだ。
広報のプロでない経営者が発信するリスク
最後に言っておきたいことは、経営者自らが情報発信を行うことは、諸刃の剣であるということだ。近年、経営者がステークホルダーに対してメッセージを送り届けることが重視されるようになっている。経営者個人がSNSアカウントを開設して情報発信を行っているケースも目立つようになっている。
うまく行っている例もあるが、今回のレゴランドのケースのように、批判を浴びたり、炎上してしまったりするケースも散見される。
経営者は経営のプロである必要があるが、広報のプロである必要は必ずしもない。できるに越したことはないが、十分にできなければ経営面に専念したほうがよい場合も多い。
アメリカでは、トランプ元大統領や起業家のイーロン・マスク氏のSNSへの投稿が時に物議を醸し、時には社会的混乱さえ招いている。誰でも情報発信できる時代であるからこそ、社会的影響力のある存在ほど、情報発信のリスクも十分に理解しておくべきであると思う。
西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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