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「ゴミ屋敷のくぼみに寝る」母親が救われた瞬間 息子の依頼で家が片付けられ新生活が始まる

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 12時0分

母親も心のどこかでは「部屋を片付けたい」という想いがあった。

「2~3カ月に1回、家に帰るとゴミが全部なくなっている夢を見るんです」(母親)

ゴミの片付け費用を「自分が出す」

そんな母親の様子を見て、息子は「費用は自分が出すから全部片付けよう」と説得した。

片付けを行うイーブイのスタッフは全部で5人。3人が部屋の中のゴミを袋に詰め、バケツリレー方式で玄関に集めていく。そして、団地の5階にある一室から、残りの2人で外に運び出していく。集合住宅の場合、エレベーターまでの廊下が長かったり、駐車スペースまでの距離が遠かったりして、運び出しに時間がかかってしまう。この日の気温は30℃。全員汗だくになりながら、黙々と作業を続ける。

スタッフがゴミの上に立つと、すでに頭が天井につきそうだ。まずは生活ゴミを掻き集め、ゴミ山の上ずみを取り除いていく。その下には新聞や紙類のゴミが埋まっており、使い終わった湿布薬も交っていた。

作業も3時間を超えるとひとつの和室は空になり、息子が小学校に入学するときに買ってあげたという勉強机が出てきた。片付けが進むにつれ、写真のアルバムなど昔の思い出の品がゴミ山の中から発掘されていく。すると、母親の表情も心なしか明るくなっていった。

「新しいベッドを息子が買ってくれるねん。どこに置こうかな」

それから2時間後、計5時間の作業ですべてのゴミが部屋の外に運び出された。わずかに残った荷物の下には、ボロボロに擦り切れた畳がある。ふすまも穴だらけだった。

母親の「夢」が叶った瞬間

「きっかけをくれた息子には感謝しかない」

見違えるほどきれいになった部屋を見て、母親はそうつぶやいた。

「床を見たのは10年ぶりくらい。足が悪い中、トイレに行くのにもゴミを跨いでいっていたから。でも、モノがなくなっていくのを見るのは苦しいんですよ。思い出のモノがなくなるなあと。でも、息子にもちゃんとした生活をしてもらいたいと思ったから、しゃあない。これで息子もたまに泊まったりできるかな」

15年越しの母親の「夢」が叶った瞬間だった。

「しばらくベッドも届かないので、それまでどこで寝ようかな(笑)」

母親はこれから始まる新生活に希望を持っている。

國友 公司:ルポライター

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