1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

株価高騰で「投資しなきゃ」焦る人を待つ落とし穴 「新NISA熱」で損しないために気をつけたいこと

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 11時50分

一般的に商品の値段は需要(買いたい量)と供給(売りたい量)によって決まるはずだから、株式投資する人が増えれば価格はどんどん上がりそうだ。しかし、商品と株式投資はまったくの別物だ。商品は消費するために購入されるが、株は消費されることはない。買われた株は、いつかは売られるのだ。

たとえば、ある株を買いたい人が10人あらわれて、1000円だった株価がぐんぐん上昇して2000円になったとしよう。2000円はこの企業の株価の最高値である。この時点で、この10人はみんな喜んでいる。誰にとっても含み益があるという状況だ。

しかし、この10人が利益を確定するには、誰かに2000円で売らないといけない。買いたい人が現れなければ、価格は下落するし、2000円でも買いたいという人が10人以上現れれば、株価はさらに上昇する。

買いたい人が増え続けている間は上昇するが、いつかは買いたい人は現れなくなり、バブルがはじける。一時的には企業の実力以上に株価が上昇することはあっても、長期的には元に戻ると考えられる。

長期的に株価を左右するのは、株式投資をする人が増えることではなく、企業の業績が伸びることだ。「バブル崩壊後の最高値更新」という言葉を聞いても、「自分だけ乗り遅れてしまったんじゃないのか」とあわてて、株を買う必要はないのだ。

株を1000円で買って2000円で売れば、たしかにもうかる。しかし、その裏側には、1000円で売らされて2000円で買わされている人が必ず存在している。煽られて2000円で買わされないように、まずは落ち着いたほうがいい。

NISAは投資で儲けた人が課税されないための制度だ。焦って損をするなら元も子もない。

小説の中で、投資銀行で働く七海が株価の上昇について語るシーンがある。

「私も実感しています。そういうお客さんになめられないように、あえて難しい言葉を使うことがあります」

「なめられないように……ですか?」

そこに込められた、ただならぬ感情が、優斗にも伝わってきた。

「そうよ。私みたいな若い女性って、日本のお客さんには軽くみられちゃうのよね。だから、株価上昇の理由とか聞かれたら、『グローバルな過剰流動性相場』とか、わざと難しい言い回しで答えるの」

「僕には全然わかんないですけど」

優斗は頭をかいた。

「それでいいのよ。難しい単語を覚えただけで、多くの大人は満足するのよ。今の説明って、

『世界でお金が余っているからです』と言っているだけなのにね」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください