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「餃子の王将」20カ月連続売り上げ更新の理由 「個店の味からチェーンの味へ」変貌を遂げた

東洋経済オンライン / 2024年1月21日 11時50分

実は全店での調理技術の向上に取り組めたのは、コロナ禍も大きく関係している。緊急事態宣言中や時短要請の時期、空き時間を調理講習のライブ配信などによる人材教育にあてた。3年で4万5000人への研修を行い、「包丁の研ぎ方から勉強し直していた」そうだ。また設備投資も進め、2022年に全店での餃子焼成機等の入れ替えを終えたという。

「コロナ禍では、日常食の店として、熱々でおいしいものを提供する義務があるから協力してくれるよう、全従業員に伝えた。コロナはいつか終わる。そのときに、ロケットダッシュをするための準備をしようと。その結果、クレームは減り、販売数量は増えていった」

このようにコロナ禍を経ることで、冒頭の渡邊氏の言葉通り「餃子が2019年より確実においしくなった」わけだ。

そもそも、同チェーンではなぜ個店の個性が強かったのか。

「大きな理由として、地域によって味の好みが違うことがあった。しかしむしろ、店主の好みも大きかった。『自分はこの味が好きなんだ』と。しかし調理はサイエンス。基本的な知識と技術を身につけて、そのうえでそれぞれの経験と工夫を生かしてもらえればと考えている」

確かに、同じ材料、同じ手順で調理しても、料理人の勘や経験、センスによって出来上がりは微妙に異なってくる。現在の、ある程度の統一化が浸透した餃子の王将においても、その違いを見てとれるようだ。

「量が多い」「量が少ない」問題

例えば、餃子の王将の場合SNSで「量が多い」「量が少ない」という相反する内容の投稿が見られることがある。写真でも確かに違うように見える。しかし、食材の量は統一されているはずだ。この謎について現場で鍋を振るベテランのスタッフに質問したところ、調理者の技術の違いも関係しているのではとのことだ。

一例として、炒飯が挙げられる。炒飯はご飯をふっくらと仕上げることが肝要だ。米本来の甘みが引き出され、周囲にまぶしつけられた調味料と混じり合って絶妙な味となる。ふんわりと盛り付ければ、専用の皿にちょうどよいバランスで収まる。ところが炒め方の違いで、ご飯がふんわりとしないことがある。これにより、量が違うように見えてしまうことがあるそうだ。

だとすれば、SNSなどで「量が少ない」と書かれたことがある店舗では、炒め方を研究したほうがよいということになる。客、とくに長年通っているファンは少しの違いにも敏感なのだ。

飲食店が苦戦したコロナ禍の3年間。テイクアウトや宅配が一般的になるなど、食事のあり方が変わるとともに、もうひとつ、大きな意味があった。「外食の存在意義」を改めて問い直したことだ。

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