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沖縄「米軍基地」用地が競売にかけられる驚愕実態 「軍用地バブル」に生じた在庫過多の異変

東洋経済オンライン / 2024年1月21日 7時50分

沖縄の不動産屋の店頭にはられた「軍用地」の広告(筆者撮影)

沖縄県では米軍基地などの「軍用地」を街の不動産屋で買うことができる。現地の確認は難しいが、国から入る賃借料をもとに金融商品のように決まる価格が上がり続け、「軍用地バブル」とも言われてきた。

ところが、昨年、那覇地裁で担保不動産を売却する競売が急増した。背景には軍用地が売れ残る「在庫」が増えたことがある。沖縄の軍用地で何が起きているのか。

昨年3月、沖縄本島中部にある極東最大のアメリカ空軍基地「嘉手納飛行場」の西部、沖縄県嘉手納町にある土地が、那覇地裁で「競売」にかけられた。不良債権処理へ、担保不動産を強制的に売りさばくためだ。

【写真】細分化された嘉手納飛行場の土地の「公図」。昨年3月、9筆が那覇地裁の競売にかけられた

グーグルマップの航空写真で見ると、基地を取り囲むフェンスから1kmほど中に入った駐車場になっている場所で、100mほど離れたところには米軍機が写っている。

こんな場所の土地が競売にかけられるのは「民有地」だからだ。所有していた同県宜野湾市の不動産会社が借金の返済に窮し、土地を担保に融資していた地銀が2022年7月に競売を申し立てた。実は、嘉手納飛行場の約2000haの敷地の9割は民有地が占める。

米軍専用施設の敷地の4割は「民有地」

沖縄には終戦後も米軍が駐留し、民間の土地を強制的に接収して基地を広げた。これに反発する「島ぐるみ闘争」が起き、土地の権利は守られた。このため、国土の0.6%に国内の米軍専用施設の7割が集中する沖縄県だが、その敷地の4割は民有地となっている。

日米地位協定にもとづいて、国が軍用地を借り上げ、所有者に賃借料を支払う。戦後から80年近くがたち、所有者のほとんどは代替わりした。

軍用地は、一部の投資家の間で「確実に賃借料が入り、定期預金より利回りが高い」などとして人気を集めるようになった。それも、売り買いがしやすいように「小口」に分割されることがある。

競売にかかった嘉手納飛行場の土地も、もとは708㎡あったが、2020年に70〜71㎡の10筆に細分化されて売り出された。それでも9筆が売れ残り、競売にかかった。入札の結果、1筆当たり約608万円から707万円で落札された。

軍用地の価格は沖縄の不動産市場で、年間の賃借料の何倍かで示される。例えば、707万円で落札された土地は年間約11万8000円の賃借料が入るので「約60倍」(年間利回りは約1.7%)だ。

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