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英語の達人が人格まで切り替える納得の理由 ビジネスエリートが実践する効果最大の英語学習法

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 20時0分

英語を習得するためにオススメするのは、数値目標を立て、大量の英語を一気に詰め込む勉強法です(写真:sakura/PIXTA)

低成長、円安、少子高齢化……今や何重苦も負っている日本で、未来への展望を抱けない人たちは多い。そんな中、投資家・シンガポール大教授として世界中を飛び回り、一流の人物たちとビジネスを動かしている田村耕太郎氏は、「日本人は海外で十分通用する」と語る。臆病で閉鎖的な状態から一歩踏み出すにはどうしたらいいのか。『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』から、一部を抜粋・改編して紹介する。

英語は詰め込み! 詰め込みは一気呵成に!

われわれの未来は2つに分かれる。「英語ができる人」と「英語ができない人」のどちらかだ。

君らはどちらになりたいのか? できる人には、待遇が上がる可能性、幅広い選択肢、広い世界を見るチャンス、多様な出会いと人脈などなどいろいろとついてくる。一方、「英語ができない人」には厳しい待遇、少ないチャンス、ローカルでいつなくなってもおかしくない仕事しか待っていないと思う。

経済的で携帯可能な翻訳機も登場しつつあるが、これが事実であろう。英語を含め語学に近道はない。人間の母語学習は胎児のときから始まっている。そして義務教育で仕上げられる。どんな国のどの人種でもそうだ。それだけ歴史があり、生活に密着した言語を、違う母語を持つ者が習得しようというのだから楽なわけがない。

とくにわれわれ日本人にとって、英語学習は非常に困難なものである。なぜなら、私たちが使いこなしている日本語こそが、世界的に見て非常に珍しい言語だからだ。四方を荒海に囲まれた島国、日本。この国の母語、日本語は世界中どの語族にも属さないユニークな言語なのだ。強いて似ている言語を探せば、文法は朝鮮語やトルコ語に近いが、音韻は、ハワイ語やフィンランド語に近い。

ひらがな、カタカナ、漢字の3つの文字を使いこなし、尊敬語や謙譲語もこれだけ複雑で、微妙で繊細な表現が多い言語はほかにない。助詞・助動詞の種類が非常に多様で、動詞・形容詞の語尾変化も複雑だ。母音重視の発音が多いので、子音の聴き取り能力が低い。

日本語はアートの世界だと思う。それだけ素敵な言語で私は心から愛するが、世界に広がるには課題の多い言語だとも思う。それに比べたら英語は非常にロジカルでシンプルな言語で、まさにツール(道具)にふさわしい。だからツールとして世界語になっていくのだと思う。

私が人生で初めて海外に滞在したのがスイス。そこで4カ国語、5カ国語を使いこなす人々にたくさん出会い衝撃を受けた。しかし、その後自分がフランス語やスペイン語を学習してみると、「欧州語同士は方言のようなものではないか」と思うようになった。それくらい関連学習で急速に上達できた。

私の実感としては日本語を完璧に話すだけで、また、日本の新聞や小説を読みこなすことができるだけで、欧州語3つか4つ使いこなすことに匹敵すると思う。それくらい欧州語同士は似ている。だから彼らは上達が早い。欧州語を3つ4つ話すことより、日本人が英語を使いこなすことのほうがよほど離れ業だと思う。

何が言いたいかというと、まず「日本人にとって英語を使いこなすことは大変だ」と思ってほしい。だから、なかなか思うように上達しなくても気にすることはない。それくらい大変なチャレンジをしているのだから当然だ。ただ、本当に英語を獲得したかったら、素晴らしいが特殊な言語で育った日本人にはハンディがあると自覚して、何倍も頑張るしかないのだ。

私や、後述する村上憲郎さんのような遅咲きでも英語はマスターできたように、絶対誰でもいつからでも、やればできる!

では、どう頑張ったらいいのか? とにかく詰め込むのだ!

安易な教材や学習法を信じてはいけない。「聞き流すだけで英語をものにできる!」なんていうキャッチフレーズを聞いたことがあるだろう。ひょっとしたら、そんなやり方でうまくいった人もいるかもしれないが、多くの人には有効な学習法だと思わない。優しい言葉は商売っ気見え見えだ。優しい言葉を信じないようにしよう! そういえば、「優しい言葉を信じない」は海外生活の一丁目一番地のルールでもある。

英語に限らず、中国語でもスペイン語でも短期に取得している人は、楽しようとせずにものすごい勢いで詰め込んでいる。語彙も表現も発音もすべてである。英語は筋トレのようなものだ。基本的にはコツコツと単調な正しいやり方で時間をかけて積み上げていくものだ。ここで宣言しよう!

大事なものは簡単に手に入らない。そして苦労して手に入れたものは簡単になくならない。

これこそ英語なのだ!

英語で話すときは人格を変える

「将来はテクノロジーが何とかしてくれる」と思っている人もいるかもしれない。しかし、やはり自分の想いは自分で話せたほうがいい。語学ができることは認知能力も引き上げてくれる。

私は英語に切り替えるとき、人格も変える。より理路整然と結論から話し、相手によりリスペクトを抱きながらもチャレンジしていく。はっきり言うべきときはリスペクトを忘れずはっきり言う。英語ならではの間接的な言い回しは、日本語よりある意味間接的だ。違う自分になり切ることで脳が発達している感覚がある。

私の強烈なトレーニングになっているのが、CNBCやBBCへのコメンテーター出演だ。早口なアンカーの難解でたまに的外れな質問に、5〜10分の中で正確に言い倒さないといけない。つまらないことを言えば話を遮られ、二度と呼ばれなくなる。

日本語で日本人だけを相手にビジネスをやっていても、日本の人口動態・経済財政状況を考えれば、今後はスケールアップしない限り、とんでもなく厳しくなる可能性がほとんどだ。21世紀の東南アジアに暮らして日本語だけで日本人相手にビジネスをやるのは、まったくサスティナブルではないということが実感を持って感じられる。

日本国外の草原で自ら餌を狩る訓練をしておかないと、今のところ快適なガラパゴス日本で飽食していても、将来は危うい。そのための最低のスキルが「英語力」だ。

それは、英語という受験科目が得意苦手という次元ではない。そういう意味でも、「英語で暮らしビジネスする」環境に早く自分をぶち込んだほうがいい。

詰め込むなら村上メソッドが一番!

私が最もオススメしたいのは、敬愛する村上憲郎さんの『村上式シンプル英語勉強法』だ。村上さんはグーグルの日本法人のトップに上り詰めた人。グーグル本社でも副社長まで行った人物だ。現代を代表するグローバル企業で最も出世した日本人と言って間違いない。

この村上さんは、何を隠そう英語を学び始めたのは31歳から。それまで海外に出たこともなかったという。遅咲きの村上さんがあらゆる教材と勉強を試して悪戦苦闘しながら、自分で編み出したのがこの村上式英語勉強法。帰国子女や外国人が提唱する勉強法ではなく、多くの平均的な日本人と同じように英語に苦労していた人物が、苦悶しながら生み出し、グーグル本社で評価されたという実績を作り出している勉強法だ。

30代まで英語がまったくできなかった村上さんだからこそ説得力があり、間違いないものだと確信する。

村上式の理念は一言で言えば、「数値目標を掲げ、一気呵成に詰め込む」である。

①英語を読む②単語を覚える③英語を聴く④英語を書く⑤英語を話す

これらの5つのステップを同時並行で進行させ、3年間でマスターすることを目標とする。

①については、まず英語300万語を読む。小説30冊、ノンフィクション15冊相当を息継ぎなしで読む。一文一文を翻訳するのではなく、わからなくてもどんどん読み進めるように。

②は、毎日1万語を「眺める」。繰り返すことで刷り込んでいく。

③は、トータル1000時間。筋トレの要領で、自分の聴き取れる限界以上のものを聴き続けることで、聴力を鍛えていく。

④は、「英作文」とタッチタイピングを身につけること。使える英文をストックしてフォーマットを蓄積、状況に応じてアレンジできる能力があれば十分だとする。

⑤は、「あいさつ」「依頼」「質問」「意思表現」「相手の意向を聞く」5パターンの基本の表現を覚えること、自分および自分の関心事で100の英文を「英借文」し、丸暗記。

「村上式」は、厳しい。厳しいのは村上さんではない。厳しいのは現実の世界である。だから厳しさを告げてくれて、そのうえで厳しい勉強法を勧めてくれる村上さんこそが、本当に配慮がある優しい人なのだ。

村上式は「つべこべ言わずとにかくやり切る」しかない。相当にハードだが「村上式」を無我夢中でやり切れば、ある日、突然「話せ」「読め」「聞け」「書ける」自分に驚くだろう。無心で打ちっぱなしで10万球打って、コースに出たとき、いきなりナイスショットの連発になるような感覚だ。

村上式で得られるものは英語だけではない。達成感と癖である。頑張って英語を獲得した達成感は、あなたにコツコツ努力するという癖をつけてくれる。これは人生で最も大切な癖だと思う。

この癖がある限り、あなたは何をやっても成功する。村上式はあなたを人間として成長させてくれるのだ。

田村 耕太郎:国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院兼任教授、2024年一橋大学ビジネススクール客員教授

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