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中央線東小金井駅、地味だが「日本初」の誕生秘話 地元が費用を全額負担して開設した「請願駅」

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 6時30分

プリンスの村山工場は武蔵村山市にあり、青梅線や八高線のほうが距離的に近いと思うのだが、自動車の積載ということで相応の敷地が必要とされることから、請願を受けていた東小金井駅が適任と判断したのかもしれない。

その後ク5000は、トヨタ自動車をはじめ、国内のほとんどの自動車メーカーの完成車を輸送するようになり、最盛期には専用特急列車の「アロー号」が運転されるまでになっていた。

しかし、頻発する国鉄のストライキや高速道路の整備によって、完成車の輸送は道路が主力となっていく。こうした流れを受けて、東小金井の貨物駅も1980年代に廃止された。

さらに村山工場も、その後日産自動車がフランスのルノーとアライアンスを組み、リバイバルプランを実行する中で閉鎖となった。

進化する東小金井駅

東小金井駅は周辺の踏切で混雑が問題になったことから、20世紀末に高架化の工事が始まり、2009年に完成した。地上駅時代は対向式2面2線だったホームは、2面3線となり、特急や特別快速の待避を行うことができるようになった。

高架下の駅周辺にはJR東日本のグループ企業、JR中央線コミュニティデザインが運営する商業施設「nonowa(ノノワ)」がオープンした。武蔵野の地に人の輪・環境の環・心の和が生まれることを願ったネーミングで、武蔵境、武蔵小金井、西国分寺、国立駅にも展開している。

さらに両隣の駅へ向けては、やはりJR中央線コミュニティデザインが整備した回遊歩行空間「ののみちヒガコ」も整備された。こちらには飲食店や商店のほか、シェアオフィスや自転車シェアのポートなどもある。

ただしnonowa、ののみちともに、武蔵境や武蔵小金井、国立駅などにも用意されており、似たような光景が広がっていると言えなくもない。

それでも武蔵境や武蔵小金井の駅前は再開発によってモダンに生まれ変わり、国立駅は旧駅舎が展示室や案内所などを備えた複合施設に生まれ変わりつつ、街のシンボルであり続けている。

現在はやや影が薄い?

それに比べると、現在の東小金井駅前にはランドマークとなるような建物はなく、都市の中心駅でも乗換駅でもないことから、東京都内の中央本線の駅の中では、やや影の薄い存在に感じられる。

しかしながら最近になってようやく、貨物駅があった北口の再開発が始まり、公園や複合施設などが設けられるという。高度経済成長時代に旅客・貨物の両面で脚光を集めた東小金井駅の、新たな一歩に注目したい。

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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