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賛否両論・笠原さん「レシピに頼る」人に伝えたい事 顆粒出汁を使ってもいい「もっとラクに」考えて

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 12時15分

なぜなら、レシピの情報に頼りすぎて、本当ならとてもシンプルに作れるはずの料理が、どんどんややこしくなってしまうからだ。レシピがなくても作れるもの、それが和食なのだと思ってほしい。

出汁を取らない和食もたくさんある。そもそも、和食はとてもシンプルで、難しいものではない。

疲れているときには、顆粒出汁を使って味噌汁を作ってもいいと思うし、味噌汁は出汁を取らなくてもいいとも思っている。そんなことに罪悪感を持たなくていいと言いたい。

毎日みんな、仕事に家事に育児に忙しいはず。家でごはんを作る人は、もっとラクをしていい。

昔、味の素ができたばかりの頃のことを思い出していただきたい。

「簡単!」「お手軽!」と、どんどん使い始めたではないか。便利なものができたら、それを使うことは悪いことではないと思っている。

もちろん、僕のようなプロの料理人が、お店で出す料理に味の素を使うのはダメなのだが。

和食の「型」ってなんだ?

「白いごはんを中心に成り立っているもの」、これが、僕がイメージする和食であり、和食の「型」だと思っている。

何を置いても、やはり日本人の主食は「米(ごはん)」だろう。

白いごはんありきで、そこにどんなおかずを合わせるかを考える。白いごはんが真ん中にあるからこそ、味噌汁がおかずの筆頭にきたのだ。

味噌汁(汁物)以外には、その土地でその季節にとれる地場産の旬の食材や、季節の行事や風習にちなんだ料理が取り入れられたとしたら、もう立派な和食となる。

ほかにも、いろいろな発酵食品─味噌、醤油、お酢、納豆や漬け物─なども加えたい。

さらに、和食独特のうま味に欠かせない、昆布やかつお節、煮干しや干しいたけなどから取れる出汁。

これが揃えば、日本だけではなく、どこの国に行っても和食を作ることができると思っていい。

和食のベースには、出汁によるうま味があるが、これは日本の食文化独特のものだ。お茶にもうま味成分が含まれている。

うま味は「もう十分にいただきました」「おなかがいっぱいです」ということを脳に教えてくれる役割もある。

母乳がいい例となる。母乳には、昆布出汁並みのグルタミン酸(うま味成分の一種)が含まれている。うま味たっぷりの母乳は赤ちゃんにとって、おいしくてほっとする味なのだろう。でも、いくら赤ちゃんとはいえ、おいしいからといって際限なく母乳を飲むことはない。うま味成分には、脳をそんなふうに制御してくれる作用があるのだ。

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