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「料理の脇役から主役へ」スープストック躍進の訳 食の欧米化に伴い、汁もの文化にスープが加わる

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 11時30分

1号店から25年たち、スープに対する消費者意識はどう変わってきたのだろう。

「料理の脇役的存在から主役に近くなったと感じています。“食べるスープ”はぼくたちが提唱してきたと自負していますが、近年はコンビニ店舗やカップスープのパッケージでも、この言葉が使われるようになりました」(松尾社長)

一昨年10月、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を取材して、同店名物の「オニオングラタンスープ」について運営会社の社長に聞いた。その時もこんな話をしていた。

「今や主役のような存在です。先日、関西のロイヤルホストで食事をしましたが、近くのテーブルのお客さまが、最初にオニオングラタンスープを頼まれ、それを中心に食事をしていました。芝居でいえば幕開けで、いきなり主役が出てくるような立場になっています」

もともと日本の食生活は、汁もの文化ともいわれる。味噌汁やラーメン、うどんやそばなど汁を使う料理も多いからだ。食の欧米化に伴い、スープも加わるようになった。

離乳食無償提供“騒動”で学んだこと

2023年4月18日、スープストックトーキョー(運営会社)は、他業態でも行っていた「離乳食の無償提供」を同25日からスープストック店舗でも始めることを公表した。

すると、SNS上で「落ち着けなくなる」「店が狭いからベビーカーが邪魔」「子供が騒いでいたら他の店に行くかも」というコメントがあり、メディアがそれを取り上げて “騒動”となった。その後、4月26日に同社が声明を発信し、徐々に沈静化した。

「『世の中の体温をあげる』として、乳児から高齢者まで誰でも食事を楽しめる“食のバリアフリー”も推進しており、その一環で始めたものです。でも、それが十分に伝わっていなかったのを痛感。企業理念を再確認して突き詰める機会となりました」(松尾社長)

当時、同社の声明を称賛する声も多かった。筆者は大手企業でコーポレート情報に携わってきたが、「これで一件落着」でなく、「何が問題だったのか」の検証は大切だろう。

前述の桜新町店利用時には、隣の席で30代と思われる夫婦が乳児とともに食事していた。

「この子にとって初めての外食です。騒動のことは知っており、少し気になりましたが、本人はうれしそうでよかったです」(母親)

乳児はおとなしく過ごし、なかなか見事な食べっぷりだった。

多くの人の体温をあたためきれていない

外食業は参入も多いが廃業も多い多産多死といわれる。昨年発表されたデータでも「閉店したラーメン店、カフェの6割以上が3年以内に営業終了」という調査結果があった。

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