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「中国が最も恐れる男」が見据える対中関係の急所 「異能外交官」垂秀夫・前中国大使がズバリ提言

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 7時50分

そのなかには、国会議員の選挙を視察した人もいた。与党と野党それぞれの候補の演説風景を見たり、選挙カーやポスターをめぐるルールなどを知ることで、「民主主義」がどのように運営されているかを理解したようだ。

当時の安倍晋三首相が応援演説している際に握手した人は、大いに感動していた。「アジアに民主主義と法の支配がここまで定着している国があった」ということで、彼らにとっては「日本を再発見した」という思いだったろう。東日本大震災の際の日本社会の秩序ある対応に感動している人も少なくなかった。

ーー日本社会を知ってもらうことで中国の変化を促す、という期待があるわけですか。

中国をどう変えるかは、あくまで中国人が決めることだ。しかし中国が「民主主義」と「法の支配」を尊重する方向に変わっていくなら、それは日本にとってもいいことだ。そうした変化の担い手とのつながりをもっておくのは大事だろう。

いま日本に富裕層が多く来ているというのは大きなポイントで、彼らは今後中国が変化していくうえで重要な役割を担う可能性がある。現在の台湾の与党である民主進歩党はもともと体制外の活動家の集まりだったが、台湾の企業家たちがスポンサーになったことで政党として成長した。

中国マネーを地方で活用しよう

ーー日本社会は3回目のブームをどうとらえるべきでしょう。

中国の富裕層が日本の企業や不動産を買うことについて、日本社会には一部で反発もあるようだが、これには誤解が多いと思う。基本的に習近平政権から逃がれようとしている人が多いはずだ。

いま中国の人たちの目が日本に向いていることについて、ぜひ戦略的に考えてほしい。そのためには歴史を踏まえることが必要だ。いま両国関係は厳しいが、中国人にも日本の文化や歴史への敬意を抱く人は多いと感じる。たとえば私の知人にも、高野山に骨を埋めることを望んだり、法隆寺を見て「よくぞ唐代の建築を残してくれた」と感涙するような人物がいる。

投資をめぐって摩擦が生じる背景には、中国人側の知識不足があると思う。彼らは投資のため日本の不動産を買うときにも、東京、軽井沢、箱根、ニセコ、京都といった人気のある場所にしか目がいかない。ほかに思いつかないから決まった土地に投資を集中させ、その周辺の地価が上がってしまうわけだ。

中国人は認識していないが地元の人が投資を求めているような土地があるはずで、両者を結びつける機能が必要なのではないか。最近もある県の知事と話したら、「中国の富裕層には是非来てほしい」と言っていた。地域に還元されるかたちで投資がなされるように、地方自治体などが介在する仕組みがあるといい。

もちろん大勢来る中国人のなかには、中国政府の指示を受けて活動するような人もいるだろう。問題行動を起こす人物は国外退去させられるような法整備も急ぐべきだ。

西村 豪太:東洋経済 コラムニスト

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