松本人志氏騒動を拡大した「Xから発信」の危うさ 無法地帯化したXでは伝播力がデメリットにも
東洋経済オンライン / 2024年1月24日 11時50分
芸能界だけでなく社会全体に衝撃を与えた、松本人志氏に関する週刊文春報道。法廷闘争まで進んだ騒動のインパクトは巨大で、単なる芸能スキャンダルではなく報道のあり方も含めた大きな論争を呼んでいます。この件において、問題を複雑化させた要因に、松本氏の「X」(旧ツイッター)発言があると考えます。ツイッターがXとなったことで、コミュニケーションリスクがさらに拡大したと考えています。
Xから発信した危うさ
松本人志氏の笑いは時代と価値観を変えました。松本氏のファンを「信者」などと呼ぶこともあるのは、ただの芸能人、お笑いスターとは異なる強烈な影響力ゆえでしょう。
松本氏自身は20才そこそこでスターになり、そこから60才になる現在まで第一線を走り続けてきました。お笑い芸人には常時批判はつきものですが、「水曜日のダウンタウン」など、今現在でも類を見ない発想や切り口で笑いを作り続け、視聴率もしっかりトップクラスを稼げる、名実ともにお笑いの頂点に君臨している存在です。
その松本氏が、結果として芸能界から突如消えてしまうという騒動は、ただの芸能人スキャンダルではありません。今回の騒動では松本氏を批判する声は大きいものの、文春報道自体への批判の声も出ています。
私は松本氏の文春報道について多くの取材を受けた際、なぜ松本氏が表舞台から消えるという事態になってしまったのか、危機対応コミュニケーションの視点で答えました。
事実関係について私は一切判断できる立場にありませんので、いずれかの主張に基づく評価はしません。ただ、文春が発売され、事態が一気に拡大する中、松本氏側の発信が所属する吉本興業のステートメントと本人のXしかないことに危うさを感じました。
特に今回の騒動のずっと前に、松本氏が当時のツイッターを始めた時、内容やタイミングからして、松本氏本人が直接書き込んでいるだろうと思われたことは、危険だと思っていました。有名人がSNSアカウントを持つのはもはや当然ですが、その発言がもととなって炎上騒ぎになるなど、リスクも大きいのです。
私も芸能人など著名人の方や企業などから、SNSに代表される情報発信の方法やリスクについての相談を多々お受けします。一方でSNSでの情報発信に、リスクヘッジをしていない著名人の方も少なくないようです。
例えば衆議院議員の小沢一郎氏は、自身のXで意見発信していますが、その際のアカウント名は「小沢一郎(事務所)」と表記しています。恐らく小沢氏ご自身ではなく、事務所スタッフの方が、小沢氏の許可を得て発信しているのではないかと想像します。もしそうだとしたら、これはきわめて理にかなった適切なリスク管理です。
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