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台湾と韓国で同時台頭する政界「第3極」に注目せよ 世界秩序の歴史転換に日本は鈍感だ

東洋経済オンライン / 2024年1月25日 10時0分

台湾と韓国で「3極」が注目されるのは、敵との戦いを主要な争点にしないのは偶然ではない。両者が民主化を経て約30年続いてきた政治・外交の枠組みが中国台頭によって変わり始めている兆候だと思う。

歴史的にみれば、「大日本帝国」が台湾と韓国を植民地統治した時期を過ごしたことは、両者ともをほぼ同質の統治を共有した。日本の植民地支配が終わり、大戦後に「支配者」がアメリカに代わり、両者を独裁政権にするのが共産主義に対抗するうえで効率的というアメリカの意向があった。

民主化もグローバル化する世界で、急成長する両者を取り込むためというアメリカの意向が働いていた。

とするなら、アメリカ衰退と中国台頭という大状況の変化の中、台湾と韓国をめぐって「第3極」を模索する動きが同時に出てきたのは「必然」なのだ。

選挙の主要争点が安保から経済、民生重視に転換しつつある新状況は、アメリカに代わるパワーとして中国と向き合わねばならないと考える有権者の意識変化の反映だと思う。

長々と歴史を振り返ったのは、両者を植民地支配した日本も、戦後はアメリカとの同盟関係を最優先する政治構造を受け入れ、民意もそれに従った点で台湾、韓国と共有していることを強調したいからである。第3極の登場は世界秩序の変化を微妙にかぎ取った民意の変化を感じる。

世界秩序の歴史的転換に直面しているのに、日本政府をはじめメディア、国民とも状況の大変化を意識していない。世界秩序の歴史的転換を見誤ってはならない。

中国は頼氏を「台湾独立」路線と非難していることから、日本国内では、習政権が武力行使を含め緊張激化を予測する向きが多い。だが筆者の見立ては真逆だ。中国は軍事的威嚇を強めても武力行使せず、日米政府が煽ってきた「台湾有事」は遠のくと見ている。

日本では台湾選挙の結果を受け、台湾有事が現実化するという極論がメディアで横行しているが、それは誤りだ。

武力行使はアメリカ、日本との武力衝突を覚悟する必要があるだけでなく、世界と中国の経済を危機的状況に陥らせ、共産党支配を崩壊させかねない。中国にとり最もリスクの高い「自殺行為」だからだ。

対中政策の見直しが急務

険悪化する米中関係も2023年11月に開かれた米中首脳会談が行われ、衝突回避のため「一時休戦」の黙約で合意したというのが筆者の分析だ。

バイデン大統領にとっては2024年11月の大統領選挙まで、対中休戦を維持するのがベターな選択だ。一方で不動産不況が長引くなかで中国にとっても、経済立て直しを中心に内政に精力を集中したいのが本音だろう。

西側では、台湾有事を煽る政府の宣伝をメディアが無批判に“広報”し、それが世論を形成してきた。その結果、中国問題になるとうそでも「チャイナ・バイアス(対中偏見)」のスイッチが入り、対中誤解が「ボタンの掛け違い」のように、台湾有事にリアリティを増幅させている。

新たな世界秩序の重要な主役になる中国と敵対し続けることは日本の利益にならない。台湾と韓国で起きた民意の変化から学んで、大状況の変化に対応した対中改策を早急に開始すべきだ。

アメリカと中国が1972年に「ニクソン訪中」を行い、日本の「頭越し」に歴史的な和解で合意したことを忘れてはならない。自民党の派閥抗争は「コップの中の嵐」にすぎない。

岡田 充:ジャーナリスト

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