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表面的に羽振りよく見える人にも貧乏の影は迫る お金、時間、知識、信頼の収支のバランスが重要

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 11時35分

これらのアンバランスの原因は「自分の行動の目的が明確化されていないこと」だ。

そもそも大学に行くのは何のためか、スマートフォンは何のために買うのか、自分は何をしたいのか。いつでもこれらを自問自答することで思い込みに起因する無駄遣いと優先順位付けの間違いから脱することができるだろう。

その手段は目的に合致しているか?

反対に、目的に対して現在の手段が適正かどうか点検しなければ過大な手段を用いてしまうことになる。右隣の家に行くために、左に、左に、と、自家用ジェットで進んでいって地球を一周してようやく隣家にたどり着くような状況を想像すればよい。「目的に対して過大すぎる手段」も貧乏をもたらすのである。

発展途上国には結婚式や洗礼式といった行事に収入の大半を使う風習がある地域が見られるという。こうした風習は、多くの場合、気晴らしや退屈しのぎという役割を持っている。また、毎日の食べ物の確保に困っている家庭であってもテレビやスマートフォンは一式そろっていたりする。食べ物に困っている人々に金銭的な援助をしても、栄養に乏しく高価な(でも美味しい)食材に変わるだけだという調査もある。

表面的には収入が多い人であっても、給料日にはストレス解消のためにパチンコに大金を使ったり、行きつけの居酒屋で豪遊したり、タバコを毎日何本も吸ったり、片思いの相手に貢いだりして生活が困窮しているということもある。

表面上さえ収入が多いわけではない私も、給料日には「食べるのか」という勢いでガツガツと欲しかった本を大量購入してしまう。家も車も時計も最新スマホも持っていないが本を買いすぎた月には困窮状態に陥る。

すなわち、人間は将来に備えて最低限の栄養で生きるより、多少のリスクを取っても楽しい生活を選ぶということだ。これは怠惰ではなく人間に共通する特性なのである。

岩尾 俊兵:慶應義塾大学准教授

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