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走る産業文化財、「動態保存」蒸気機関車の軌跡 国鉄時代の「やまぐち号」から東武「大樹」まで

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 6時30分

国鉄初の動態保存SL列車となった「やまぐち号」の試運転時の様子(撮影:南正時)

2023年、JR東日本の「SLばんえつ物語」を牽引するC57形180号機が77歳の「喜寿」を迎えた。同年には全般検査を終えたばかりの美しい姿に「喜寿」のヘッドマークを付けて磐越西線を走った。

【写真90枚以上を一挙公開】国鉄初の動態保存となった「やまぐち号」のC57形1号機から東武鉄道の「SL大樹」まで、日本各地の動態保存蒸気機関車の軌跡。

C57形は戦前に開発された蒸気機関車(SL)だが、180号機は1946年8月に誕生した戦後っ子SLだった。実は筆者も同年同月に生まれ、77歳の喜寿を迎えた。生誕が同じ年月だと知るとより親しみが湧き、2023年には磐越西線を数度訪れ、「SLばんえつ物語」の撮影や乗車を楽しんだ。

全国ではほかにもさまざまな動態保存のSLが活躍しているが、一方で近年は運行を取りやめる動きも出ている。今回は動態保存SLの軌跡を振り返りたい。

始祖は大井川鉄道と国鉄「やまぐち」

日本におけるSLの動態保存営業運転は、静岡県の大井川鉄道が北海道の標津線を走っていたC11形227号機を導入し、1976年7月に開始したのが始まりだ。

この少し前、国鉄は日本の鉄道発展に貢献してきたSLを産業文化財として保存することを決め、鉄道開業100年の記念行事の一環として1972年10月、京都に梅小路蒸気機関車館が開館した。その後、同館に保存されたC57形1号機により、1979年から山口線の小郡―津和野間で国鉄として初のSL動態保存列車「やまぐち号」の運転が始まった。

山口線が選ばれたのは、山陽新幹線の小郡駅(現・新山口)からアクセスできること、沿線の津和野などの観光活性化につながるといった理由からだ。C57形1号機は、かつて羽越線や磐越西線を走ったC57形のトップナンバーで、現役時代から人気のあるSLだった。筆者も当時その姿を撮影している。

その後、1987年に国鉄の分割民営化によりJR各社が発足すると、JR四国以外の旅客各社はこぞってSLを動態復元し、イベント列車などとして運転を開始した。各社ごとに見ていこう。

「山線」のC62、オリエント急行を牽いたD51

JR北海道の路線上で初のSL復活運転は、C62形3号機による「C62ニセコ号」で、1988年4月から函館本線の通称「山線」、小樽―倶知安間で運転を開始した。これは民間団体が寄付などによって動態復元を果たし運行していたもので、C62形が現役時代に急行「ニセコ」を牽引して活躍した路線を走ることもあり人気を博したが、1995年11月3日をもって運行を取りやめた。

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