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「スマホ依存」の人がハマる宿命的な脳のトラップ ドーパミンの分泌と不安に追われるラットレース

東洋経済オンライン / 2024年1月28日 15時0分

スマホは気分をよくするささやかな強化の集まりだ。ことあるごとにドーパミンを分泌するので、私たちはますます手放せなくなる。

リンクに触れるとページが開く。メッセージを送るとシュッと小気味いい音がする。こうした強化が積み重なって心地よい操作感を生み、余計にスマホを触っていたくなるのだ。

人にスマホを何度もチェックさせるよう仕向けるには、毎回何かいいことが待っているようにするのがいちばんだと思うかもしれない。

じつは私たちが夢中になるのは、結果が一貫しているときではない。むしろ、予測がつかないときなのだ。

あることが起きるとわかっているが、それがいつ起きるのか、そもそも起きるかどうかもわからない状況にこそのめりこむ。

このように予測不可能な状況で報酬を得ることを、心理学用語では”間歇強化(かんけつきょうか)”と言う。私は”イヤなヤツにはまる理由”と呼んでいる。

どんな言葉で表現してもいいのだが、ともかく、こういった予測不可能な要素がスマホのアプリのほぼすべてに組みこまれている。

まるでスロットマシーンのようにのめり込む

スマホをチェックしていると、ごくまれに気分をよくするものに出会う──お褒めのメール、片思いの相手からのメッセージ、おもしろい記事。それでドーパミンが分泌されると、私たちの頭のなかでスマホチェックと報酬の獲得がひと括りに認識されるようになる。

不安から逃れるためにスマホを手に取り、いつの間にか忘れられたという経験もあるだろう。この場合も同じだ。

行為と報酬とのあいだの結びつきが完成すると、報酬を得られるのが50回に一度でも、そんなことはどうでもよくなる。ドーパミンによって、脳はそのたった一度を記憶に刻みこんでいるからだ。

そうなれば、50回のうちでいつあたりが出るかわからないという事実は、私たちをひるませるどころか、ますますスマホへと駆り立てる。

スマホの他にも、この間歇強化という報酬システムを使って人を突き動かすデバイスが存在する。なんだかわかるだろうか──スロットマシーンだ。

じつのところ、このふたつの機器は共通点があまりに多いことから、倫理的デザイナーのトリスタン・ハリスは、よくスマホをポケットに入れたスロットマシーンにたとえる。

「テクノロジーはいかにして脳をハイジャックするか」と題された記事で、ハリスはこう説明する。

「スマホをポケットから取り出すとき、どんな通知が出るかとスロットを回している……インスタグラムのタイムラインを下へ下へとスクロールしながら、次にどんな画像が出てくるかとスロットを回している。

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