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「ニューイヤー駅伝」に創部2年で初出場の舞台裏 「富士山の銘水」チーム創設の陰に箱根の名将

東洋経済オンライン / 2024年1月28日 11時30分

山梨学院大学のグラウンドで練習する富士山の銘水・陸上競技部のメンバー(記者撮影)

富士山を望むグラウンドで黙々と駆けるランナーたち。彼らは「富士山の銘水」の社員だ。「業務」は陸上。1月1日にはニューイヤー駅伝を走った。

【写真】ニューイヤー駅伝でいっせいにスタートを切る実業団チームの選手たち

ニューイヤー駅伝の正式名称は全日本実業団対抗駅伝競走大会。1月2、3日の箱根駅伝が関東の大学対抗なのに対し、各地区の予選を勝ち抜いた社会人チームが競う。群馬名物のからっ風が吹き下ろす中、ランナーたちは前橋市の群馬県庁を発着点とする7区間の100キロ、タスキをつなぐ。

陸上競技部を設けた理由は

第68回大会となった今年、8年ぶり4回目の優勝を決めたのはトヨタ自動車だった。ほかにも出場41チームには名だたる大企業が連なる。3連覇を逃したホンダ、地元・群馬県太田市の工場にチームがあるSUBARU、最多優勝回数を誇る旭化成……。

その中で大会に初出場を果たしたのが富士山の銘水だ。従業員数は372人。本社を山梨県富士吉田市に置く。2010年に創業し、富士山の標高1000メートル地点で汲みあげた水とウォーターサーバーを販売している。

初出場となった今大会は39位に終わった。だが選手を出した富士山の銘水の陸上競技部はなんと創部2年目にすぎない。会社が陸上競技部を設けた狙いとは――。

「宣伝効果ではありません」。記者が想定していた答えを、粟井太一朗・陸上部長はきっぱりと否定した。富士山の銘水で管理部長を兼務する。

今年のニューイヤー駅伝のテレビ生中継は、平均世帯視聴率が関東地区で11.2%。箱根駅伝(復路)の同28.3%には及ばないが、到達人数にして全国で2830万人が目にしている計算だ(数字はいずれもビデオリサーチ調べ)。

箱根駅伝は受験生集めに絶大な効果を発揮するため、力を入れる大学が次第に増えてきた。同じく、企業にとってもニューイヤー駅伝のPR効果は抜群と思われるのだが……。

「いい会社だと思ってほしいんです。社員、社員の家族、それに地元の山梨県、富士吉田市の方々に」。粟井部長はそう話す。社員の半数は富士吉田市の本社工場に勤務し、地元出身者が大半という。

「いい会社と言うには、給料をはじめ待遇ややりがいなどさまざまな要素がありますが、『応援できる存在があること』も大事だと思っていて」

創部2年目での初出場には「思っていたより早かった。出場すれば応援しやすいので、常連になって順位を少しずつ上げていってほしい」と、期待を寄せる。

「名将」にもらした社長の一言

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