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世界を蝕む「不等価交換」と「外部化」とは何か? 資本主義を乗り越えた先にある「脱成長」の社会

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 11時0分

その際、グローバルノースは、依然としてある種の植民地支配を続けています。繁栄は、貨幣、資源やエネルギーなどのレベルでも、かなり不均等なフローに基づいているからです。

問題を不可視化する「外部化」

ここでさらに問題になるのが「外部化」です。

例えば、フィリピンでバナナを作るために大量の農薬を散布しています。そのために現地では公害や環境汚染が起きる。でも、バナナを食べる我々は、環境負荷をフィリピンに押し付けています。その結果、被害はグローバルノースからは不可視化されている。これが、外部化の問題です。

不可視化されている人々の暮らしや環境問題などは、常に外部化されていますが、不等価交換と外部化こそが、私たちの安くて便利で快適な生活の条件になっている。ドイツの社会学者ウルリッヒ・ブラントとマークス・ヴィッセンが述べるように、今も続く植民地支配のもとで、私たちの「帝国的生活様式」が成立しているのです。

もっと抜本的なシステム転換をしていかなければ、誰にとっても持続可能で公正な社会を実現することはできないでしょう。その点を考え抜くなかで、ヒッケル氏は脱成長を打ち出すようになっていくのです。

(後編に続く)
(構成:泉美木蘭)

斎藤 幸平:東京大学大学院准教授

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