日本と米国「テック企業」ロビイング活動に見る差 日本企業は求められている事を読む力に長ける
東洋経済オンライン / 2024年1月29日 16時0分
キャリア官僚からビッグテックへの転職を先駆けたアマゾンの最古参ロビイストである、渡辺弘美氏。15年間の活動で学んだこと、日米におけるロビイストの違いなど、同氏の新著『テックラッシュ戦記――Amazonロビイストが日本を動かした方法』を一部抜粋・再構成する形でお届けします。
日本のテック企業のロビイングと、米国のテック企業の日本におけるロビイングにはどんな違いがあるのかについても触れておこう。
【写真】『テックラッシュ戦記――Amazonロビイストが日本を動かした方法』(渡辺 弘美著)では、アマゾン最古参ロビイストの「戦術」と「哲学」を解説する。
日本のテック企業は「読む力」に長ける
日本のテック企業の公共政策チームとは、頻繁に情報交換や協働して行動していた。製薬、エネルギー、銀行、煙草などの「静的なロビイング」の業界とは異なり、公共政策上の課題を把握し、事実関係の情報収集や周辺の情勢分析を行い、ロビイングの具体的なプランを策定し、実際に行動に移していくスピードが速く、とても頼りになった。
加えて、私のような米国テック企業から見て羨ましかったのは、日本のメディアや政策立案者が好むであろう解決策を提示されていた点である。
例えば、昨今、デジタルプラットフォームの行動を競争政策上疑問視する向きがあるが、それに対する一つの回答方法としては、第三者からなる有識者委員会を企業が自主的に設置し、同委員会からの助言に基づいて自主的に行動をレビューし改善していくことを提案することで、一定の効果を狙うという考え方がある。
米国テック企業からすれば、日本で展開しているサービスは独自のものではなく、グローバルに共通していることが多いため、日本のメディアや政策立案者からの評価を得るため、日本だけのために第三者からなる有識者委員会を設置するというのは容易なことではない。
このように当然ながら、日本のテック企業は、日本の政策立案者が何を求めているのかを“読む力”に長けているので、米国のテック企業の中には日本のテック企業のやり方に学びを感じているところもある。
一方で、米国テック企業のほうに分があるという面もある。
例えば、日本政府からやや首をかしげたくなるような政策提案があった際には、米国テック企業の場合には、米国や欧州などから同種の政策動向に関する情報を取り寄せ、国際的な視点から見ていかに日本政府の提案が珍妙なものであるのかを論じていくのは得意とするところである。
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