ビットコインが危機から何度も復活する理由 アメリカでビットコイン現物ETFの上場承認
東洋経済オンライン / 2024年1月29日 12時30分
2023年はビットコイン(BTC)の価格が210万円台から600万円台まで高騰し、他の金融資産を大きく上回るパフォーマンスを見せました。2022年にはテラショック(※1)やFTXショック(※2)といった事件が相次ぎ、その影響で暗号資産市場全体が暴落しましたが、そこから復活を遂げて再び大きな注目を集めています。
ビットコインはこれまでも暴落と復活を繰り返しながら成長を続けており、2024年はビットコイン現物ETFや半減期などさまざまなイベントによって大きく上昇することが期待されています。
なぜビットコインは暴落しても価値を失わず、ここからさらに価格を伸ばすと考えられているのかについて、『暗号資産をやさしく教えてくれる本』の著者、マネックス証券の暗号資産アナリスト松嶋真倫さんが解説します。
※1 テラショック……韓国発の暗号資産テラ(Terra)USDとルナ(Luna)の価格が大崩壊し、それにより一夜にして600億ドル相当の価値が市場から消え去った事件
※2 FTXショック……世界最大規模の暗号資産取引所であるFTXグループが、1兆2000億円を超える負債を抱えて破綻した事件
金融機関および機関投資家の本格参入
2024年1月10日にアメリカでブラックロックを含む複数の金融機関が手掛けるビットコイン現物ETFが承認されました。ビットコイン現物ETFとは、ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(ETF)のことです。
この承認により、アメリカでは、証券会社の証券口座を通じて売買できるようになりました。直接保有することが難しかったビットコインに投資しやすくなるため、幅広い投資家層が暗号資産市場へ参入すると考えられています。取引初日の出来高は合計で40億ドルを超えたと報じられており、ビットコインの価格も一時700万円台まで上昇しました。
市場でビットコインの現物ETFが相場を押し上げるきっかけになると見られている理由は、金のETFが2004年に初めて承認されたときも、その後に価格が大きく上昇したためです。それから約20年が経った現在、金の価格は当時から約5倍となる1オンス=2000ドルを超えて推移しています。金と似た性質をもつビットコインも、ETFによって価格が大きく上昇し、中長期的には今よりも高い水準で安定して推移する可能性があります。
ビットコイン現物ETFが注目される裏では、暗号資産規制の施行に合わせて金融機関による暗号資産関連事業への参入が進んでいます。香港ではイギリスに本店を置く世界最大級の銀行HSBC(Hong Kong and Shanghai Banking Corporation)が、顧客向けにビットコインとイーサリアムの取引提供を開始し、暗号資産カストディやデジタル資産プラットフォームの立ち上げにも動いています。
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