1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

JR旅客6社&貨物の「新規事業担当者会議」に潜入 鉄道に匹敵する「新たな事業柱」を育成できるか

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 6時30分

各社の非鉄道事業で主流を占めるのは不動産、流通、ホテル。JRの土地にビルを建ててテナントに貸し出す。駅に隣接する好立地ということで収益力は高く、各社の収益を下支えしてきた。

しかし、JR発足から30年あまりを経て、各社によって多少の違いはあるにせよ、非鉄道事業のために使える用地は枯渇しつつある。そこで、「知恵を使う」ことで、土地に頼らない新規事業の創出が求められている。JR九州も例外ではない。最近では熊本市内の菓子メーカーや福岡市内を中心にチェーン展開を行う焼肉専門店などを矢継ぎ早に買収している。

新規事業担当者会議の2日目は、敦賀市内から車で1時間ほど離れた大飯郡おおい町でJR貨物が展開している植物工場の視察である。同社は大手ガラス瓶メーカーの日本山村硝子と組んで機能性野菜を生産する「山村JR貨物きらベジステーション(YJKS)」を2021年9月に設立、2023年4月に操業を開始した。

JR貨物と野菜と大手ガラス瓶メーカーという組み合わせが不思議だ。しかもなぜ工場の場所がおおい町なのか。その理由をYJKSの木村周二社長が教えてくれた。木村社長は日本山村硝子の研究開発センター長も兼務し、同社の新規事業を担当している。

日本山村硝子のコア事業であるガラス瓶製造は国内トップシェアの約40%を誇るが、ガラス瓶は1990年代からペットボトルへの置き換えが進み、国内需要は減少傾向にある。そのため、新規事業の開発は待ったなしの状況だった。

では、どんな事業を始めるか。「本業とのシナジーは考えなくていい」ということで選定を始めたが、むやみやたらと手を出すわけにもいかない。そこで、同社がガラス瓶の特徴であると考える「安全・安心」「環境」「サステナブル」に合致するという条件で探すことにした。さまざまな分野で研究開発を行ったが、「うまくいく事例は少なく、失敗は数知れない」と木村社長。その中で「これはいけるかも」と判断したのが野菜栽培だった。

2006年頃から植物工場野菜の研究開発をスタート。手応えを感じ、尼崎市の本社敷地内に設けた植物工場での稼働を経て、事業運営を本格化させることに決めた。

進出先の決め手は「電気代」の安さ

どこに工場を造るか。植物工場で大きなコストがかかるのが電気代である。そこで、電気代を抑えるために選んだのがおおい町だった。この町には原子力発電所が立地していることから、同町に進出した企業は立地後8年間にわたって電気料金の約半額相当の給付金が交付される。「おおい町はおそらく全国でいちばん電気代が安いのではないか」と、同町しごと創生室の猿橋康文室長補佐が言う。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください