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トヨタ「プリウス」発売1年、求めた姿との乖離 運転したときの強烈な違和感に是非を問いたい

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 12時10分

それでも販売台数が1万台に届きにくい背景には、2019年当時と比べ、半導体を含め部品調達の課題が世界中の自動車メーカーを苦しめたことが挙げられる。また、コロナ禍での納車遅れの挽回といった特別な事情もあるだろう。昨年1年の販売累計で9万9000台規模にとどまり、月平均すれば8200台強と1万台には届かず、1万台超えがほぼ常態化しているヤリスやカローラに比べると、購入を躊躇させるなにかが背景にあるかもしれない。

新車価格は、2015年の前型当初の売り出しが約242万円からであったのに対し、新型は275万円からと30万円以上高くなっている(FF車比較)。もっとも高額な車種では、前型が約339万円であったのに比べ、新型は392万円(E-Four比較)となり50万円以上高い。ただし、こちらはエンジンが前型の1.8リッターから2.0リッターへ変更されたぶんを含む。

それでも、値上がりぶんだけの販売動向ではないような気が私はしている。

車名のプリウスの意味が「~に先駆けて」であることは、すでに述べた。初代が誕生した1997年はまさにその意味の通り、世界が驚愕する新しい価値のクルマとして登場した。しかも、高額で特殊な車種ではなく、多くの消費者が購入できる5ナンバーの小型4ドアセダンとして現れ、車両価格は215万円と、安くはないが買えない値段ではなかった。

この価格設定は、「21世紀にゴー(5)」という、語呂合わせだとの噂ものぼった。宣伝のキャッチコピーは「21世紀に間に合いました」であり、20世紀の最後を飾り、次の世紀へ夢を託すHVの誕生であった。

ハイブリッドシステム進化の歴史

一方、ガソリンエンジンとモーターを併用する駆動方式であることから、加速や減速での原動機の切り替えや併用などで、段付きのあるような不自然さが残り、出力そのものにも物足りなさを覚える面があって、従来からのガソリンエンジン車と比較すれば難点が指摘されることもあった。

そこで2代目は、ハイブリッド・シナジー・ドライブと称し、HVでも快適に運転できる性能の追求が行われた。海外での販売強化も視野に、3ナンバー車へと車体寸法がやや拡大された。加えて、性能が上がり高速走行が増えれば空気抵抗の影響が強まるため、外観の造形は車体後半へ流れるようなクーペのようになった。その姿が現在まで継承されている。

3代目では、より手軽に購入できる販売戦略により、燃費のよい車種の購入に対する補助金制度も視野に、価格的価値を高め、一気にHV人気を押し上げ、存在を普遍化し、街にプリウスが溢れた。同時にまた、PHVというHVの可能性を拡張する車種を追加したのもこの3代目である。

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