1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「時代の寵児」オーサムストアはどこで失敗したか 雑貨界で果敢な挑戦も、コロナ禍に売上が低下した

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 21時0分

オーサムストアの全店舗の閉店が決定。ある意味、2回目の敗北宣言となった(画像:(株)リテールトランスフォーメーションHPより)

時代の寵児は、時代に翻弄され潰えたというわけか。

【写真】全店閉店となる、オーサムストアの店舗たち

AWESOME STORE(以下、オーサムストア)を展開していた株式会社リテールトランスフォーメーションは、今月16日に東京地裁へ民事再生法適用を申請していた。そして、オーサムストアは来月2月までに全店舗の閉店が決まった。2回目の敗北であった。

オーサムストア展開会社が民事再生法適用を申請

というのは、もともと2023年5月に、同オーサムストアを展開していたオーサム株式会社が自己破産を申請していたからだ。

今回、民事再生法を申請していた株式会社リテールトランスフォーメーションは、そのオーサム株式会社から事業を引き継ぐ形で展開していた。さらに、もともと事業を引き継ぐ際には、債務を引き受けない形となっていたにもかかわらず、である。事業の継承をしてすぐに、かなり厳しい事業運営で辛酸を嘗めたかっこうだ。

絶頂はコロナ禍前の2019年で、約55億円の売上高があった。それが2020年のコロナ禍以降は約46億円と低迷していた。そこで元の運営会社での再建はできず、さらに、次の事業者によっても昇華はできなかった。

私はオーサムストアを時代の寵児と書いた。もともと2014年に低価格雑貨店として東京の原宿にオープンした。そこから郊外のショッピングセンターを中心に店舗を展開してきた。そして、オーサムストアのモデルは雑貨界に対する、ある種の挑戦だった。

オーサムストアは安価な雑貨販売についてプチプラの嚆矢といわれる。ただ私のいう挑戦はそれだけではない。一般的に雑貨屋であれば、仕入れのセンスを問われる。何を仕入れて、どう陳列するか。コンセプトが問われる。

オーサムストアのどこが革新的だった?

それに対して、オーサムストアでは、単に仕入れと販売にはとどまらなかった。企画もする、デザインもする、店舗設計もする。さらには、商品の生産を担う海外企業とも商社を介在させずに交渉し、契約した。また、自社で生産管理を徹底するだけではなく、徹底的な品質維持にもこだわった。なんと商品を抜き取り検査ではなく、全品検査していたほどである。

さらにジャンルも、インテリア、キッチンだけにとどまらず、コスメ、食品、イベントグッズにも広げ、後述するペットグッズも拡充した。

近年は、低価格雑貨とは相性が悪いと言われたオンラインストアにも力を入れ、ならびに物流センターも稼働させていた。雑貨は低価格であるため、とにかく効率が悪い。さらに数量もまとまらない。さらに素材の問題があって乱暴には扱えないものばかりだ。簡単にいえば、普通は手を出さない。ファッション、アパレルと違って大企業は少なく、市場規模も大きくなっていなかった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください