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日本人の「内向き思考」を批判する人への違和感 「限られた情報」で世界を語ってしまう危うさ

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 11時20分

だから今回のテーマである「内向き思考」に関しても、日本人全体がそうなのか、果たして本当にそうなのか、他国の人たちはそうではないのか、そもそも内向き思考は良くないことなのかなど、それぞれの主観がかなり影響するように思っています。

前述したインド人パートナーは、私に出会うまでインドの外に出たことがありませんでした。「インドが大好き、インドはとにかくすごい!」と語り、「日本は経済的にどんどん落ちつつある国だろ?」と言われました。それ自体は間違っていないかもしれませんが、すべて彼がネットで知った情報から判断したことです。

ネットの弊害は、自分が取りたい情報だけに偏ってしまうということです。実際、彼自身は「今は世界中のすべての情報がネットで取れるから、海外に行く必要はないんだ」とも言っていましたが、それが覆るような、ちょっと面白い出来事がありました。

彼は私と事業を組み、初めてインドの外に出て日本を訪問しました。そのとき、あまりにも整備されたインフラ、ゴミの落ちていないきれいな街並み、時間に正確な電車などを経験して、「日本は本当にすごい!日本、最高!日本、大好き!」となり、帰国してからもことあるごとに、周りのインド人たちに「日本はすごいぞ」と言い始めたのです。そして日本は落ちつつある国だなんて、一切言わなくなりました。

日本人としては嬉しいことですが、彼が数週間の日本滞在の中で見た「限られた日本」でしかありません。人は自分が得た限られた情報の中からだけで判断してしまうのです。そういう意味では、私も気をつけなければいけません。世界のあちこちに行きますが、自分が見ている世界はあくまで表面的な一部の世界なのだと肝に銘じなければと思っています。

日本人だけが内向きなのか

その視点で考えると内向き思考という批判も、どこかで「内向き思考はダメ」というその人の主観に影響されている気がします。

これは私の主観ですが、そもそも世界中の多くの人は内向きじゃないかと思ってもいるし、そもそも人々が内向きになってしまうのは、日本が居心地がよいからではないかというポジティブな見方だってできます。批判ではなく、内向き思考になる前提の環境自体は称賛すべきことではないかと思うくらいです。

そんな居心地のよい日本に対して、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ・イスラエル戦争など、ニュースを見ていると世界は戦争や紛争、対立に溢れ、なかなかそれが終わりませんから、日本を飛び出すのがちょっと怖くなってしまう気持ちもわかります。

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