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部下の見極めは「ABテスト」活用が効果的だった マーケティングの手法を使って"洞察"してみる

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 7時30分

また「観」は、その人の行動の動機を見ることだ。

「お客様の笑顔を見たいから頑張れます」

「部長にはいつもお世話になっているので、恩返しをしたいです」

という言葉からは、部下が頑張る動機を理解できるはずだ。

次に「察」は、その人がどんなことで喜び、満足するかを見ることだ。最もその人の「素」がわかる部分と言えるだろう。

「社会に貢献したい」

「お客様を感動させる商品を作りたい」

などと言いながら、SNSのフォロワーが増えたことを喜んでいるのなら、利他的ではなく利己的な性格なのかもしれない。他者貢献よりも自分が目立つことのほうが夢中になる可能性は高い。

反対のケースもある。

「もっとお金が欲しい」

「出世して多くの人に認められたい」

「そのためなら、何でもやる」

と言いながら、後輩が結果を出すと自分のことのように喜んでいるのなら、自分のキャリアよりも他者貢献の意識が強いのだ。言葉と実際の行動をよく見極めなければ、本当の意味で人を洞察することはできない。

部下を見極めるABテストのやり方

「自分の時間を大切にしたい」「ワークライフバランスを第一に考えたい」と言いながら、やりがいのある仕事を任せると時間を忘れて没頭する若者もいる。

「意外と仕事にのめり込むタイプだろ?」と尋ねても、自覚がなければ認めないだろう。自分の言ったことは覚えていても、自分が表現した感情や感覚は、自分自身で認識するのは難しいものだ。

そういうときに利用したいのが「ABテスト」だ。

本来ABテストはマーケティングで使われる手法だ。特定の要素を変更したAパターン、Bパターンのチラシや広告を作成し、ランダムに示して、ユーザーの反応を探る手法だ。

このABテストを部下の見極めにもうまく使うことで、より高い成果を得られるパターンがどちらなのかが見つけやすくなる。

わかりやすいのは、

(A)叱ると伸びる?
(B)褒めると伸びる?

の比較だ。

「私は褒められて伸びるタイプです」と自分では言っていても、実は正反対の人も多い。褒めたり叱ったりを繰り返していると、パターンがわかってくる。

ちなみに私も「褒められると調子に乗るタイプ」なので、自分は褒められたほうが伸びると思い込んでいた。しかし過去を振り返ってパターン分析してみると、明らかに厳しい上司、強制力が強い講師のもとで学んだときのほうが大きく成長していた。

私のように「厳しく叱られて伸びる」人もいる。先入観を持たずにABテストしてみることだ。結果が証明してくれる。

洞察力をアップするABテストの具体例

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