1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

日本株上昇で最も「得をしている」のは誰なのか 企業が余剰資金を突っ込む株価上昇のカラクリ

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 7時40分

株式の価値を測る最良の指標は、株価収益率(PER)と呼ばれるものだ。これは、1株当たりの株価と1株当たりの純利益(収益)を比較したものだ。昨年12月31日時点のアメリカのPERは約22倍、日本は約16倍である。

計算が簡単なので20倍を例にしてみよう。1億円の利益があり、100万株を発行しているとすると、1株当たりの利益は100円である。PERが20倍の場合、株価は2000円となる。

1株当たりの純利益が2倍になれば、株価も2倍になるはずだ。1億円の利益を2億円に倍増させるという難しい方法もあるが、日本企業はより「安易な」方法を選んだ。すなわち、余剰資金を使って過去最高水準の自己株買いをしたわけだ。

仮に企業が半分買ったとしよう。その場合、同じ1億円の利益を50万株で分け合うことになり、1株当たりの利益は200円になる。

企業が自己株買いに走るワケ

2023年には過去最高の992社が自己株買いを発表し、その額は10兆円に迫る。2024年にその数がさらに増えても不思議ではない。ホンダはわずか1年で発行済み株式の4%を買い戻すと発表した。これを毎年続ける企業もある。日本だけではない。

投資家は、株価を上げるためにこのような手法を使っている企業を見ると、そのアドバンテージを享受するために株を買い、株価をさらに上げる。アメリカの有名投資家ウォーレン・バフェットもその1人で、日本の上位5つの商社の株式の約5%を購入した。

バフェットは報道陣に対し、「もし彼らが自己株を買い戻すのであれば、われわれは一般的にそれをプラスとみなす。株数が減っていくのは好ましいことだ」と語った。2023年に日本株を買った3分の1は多くの中国人を含むとされる外国人投資家だった。

買い戻しが殺到する背景には、日本取引所グループがプライム上場企業1840社に適用する新ルールがある。このルールは2025年3月に施行されるが、企業はこれに備えて今すぐ動かなければならない状況にある。

要求事項の1つは、株価が低い企業が株価を上げるための手段を公表することだ。取引所はいわゆる株価純資産倍率(PBR)を1.0倍以上にすることを望んでいるが、プライム企業の半数で1.0倍を下回っている。

PBRが1.0を下回るということは、投資家がその企業に成長力がないと見ていることを物語っている。その理由は以下の通りである。

簿価とは、企業の純資産価値、すなわち資産から他者への負債を差し引いたものである。PBRが1.0倍を下回るということは、企業が解散して負債を返済し、資産を少しずつ売却するだけで、継続企業としての市場価値よりも多くの資金を調達できることを意味する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください