日本株上昇で最も「得をしている」のは誰なのか 企業が余剰資金を突っ込む株価上昇のカラクリ
東洋経済オンライン / 2024年1月31日 7時40分
こうした中には、単なる業績不振企業もある。また、卓越した技術力を持ちながら、市場の変化によって収益が頭打ちになっている企業もある。
例えば、精密大手ニコンのPBRが1.0倍を下回っているのは、スマートフォンの台頭で2013年に1兆円だった収益が2023年には6280億円に激減しているからだ。ニコンはさまざまな製品で新たな未来を切り開こうとしている。より多角化したキヤノンでさえ、売上高は2006年当時を上回っておらず、PBRは1.0倍を少し上回っている程度だ。
多くの企業が休眠資金をため込み、収益性の高い投資ができないでいる。総資産が負債を上回っているだけでなく、単純な金融資産でさえ負債を上回っている。そこで日本取引所は、余剰資金を自己株買いに回し、株価とPBRを引き上げるよう圧力をかけている。
自己株買いは改革か?
企業が使っていない資金を使わせることは前向きな動きである。しかし、それは最初の一歩に過ぎない。より良い使い道は賃上げだろう。それが十分に行われていない。自己株買いの場合、日本経済全体にとって最も重要なのは、売り手が受け取った現金をどのように投資するかだ。
外国人はほぼ3分の1を保有し、日本株の買い手と売り手の間を行き来している。これは日本経済のためにはなっていない。日本の家計が保有する株式や投資信託は全体の13%に過ぎない。残りの投資家は現金をため込むのか、より成長が見込める企業に投資するのか、海外企業の買収に使うのかーー。すべてはまだわからない。
リチャード・カッツ:東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)
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