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渋谷TSUTAYAの大変貌は復活の序章かもしれない 「インフラを作る」企業ミッションの再定義だ

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 7時0分

しかし、である。

私は、今回のリニューアル案を肯定的に語りたい。なぜ、私が今回のリニューアルを肯定的に捉えるのか、それは「TSUTAYAが『カルチュア・インフラ』という、創業からの企業理念を明確に意識している」と思ったからだ。

どういうことか、TSUTAYAの歴史を探りながら解説したい。

もともとTSUTAYAは、創業者の増田宗昭が大阪・枚方に作った店が始まりである。1980年代に誕生したこの店は、本だけではなく、CDやDVDなども同時に扱い、まさに「カルチャー」をその商材とした。当時、ジャンルを越境してコンテンツを扱う店は少なく、1号店は大きな評判を博す。

創業者である増田宗昭は、その著書のなかで、繰り返し「CCCの存在意義は『カルチュア・インフラ』を作ることである」と述べている。ガスや水道と同じように、文化を地方・郊外まで全国に広げていくことがその存在意義だというわけだ。

実はこの「カルチュア・インフラ」という言葉、今回の渋谷TSUTAYAリニューアルでも顔をのぞかせている。新しい渋谷TSUTAYAのロゴについての説明だ。

このロゴは、[…]これまでにない新しい「カルチュア・インフラ」をつくっていくことをイメージしています。

増田やCCCにとって、この言葉が持つ重要性がわかるだろう。今回の渋谷TSUTAYAのリニューアルでは、この「カルチュア・インフラ」が一歩進んだ形で提示されたと私は考えているのだ。そのことを考えるためには、これまで、「カルチュア・インフラ」がCCCによってどのように体現されてきたのかを見ていく必要がある。

インフラ機能をサブスクに奪われて

現在TSUTAYAを運営しているCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は1985年に誕生し、レンタルビデオ事業「TSUTAYA」のフランチャイズ本部として設立された。

現在CCCは「蔦屋書店」や「蔦屋家具」など多種多様な事業を行っているが、まず第一に思い浮かぶのがレンタルビデオショップとしての姿だろう。

実際、TSUTAYAはレンタルビデオショップとして、全国にその店舗を広げてきた。一時期は1000店舗を超える店舗数を誇っていた。北は北海道、南は沖縄まで、郊外のロードサイドで「TSUTAYA」という、でかでかとした看板を見かけたことがある人も多いと思うし、読者の中には「TSUTAYA」に行って、DVD5枚で1000円のDVDで何を選ぶのか、日が暮れるぐらいまで考えた人もいるかもしれない(筆者もその一人だ)。

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