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渋谷TSUTAYAの大変貌は復活の序章かもしれない 「インフラを作る」企業ミッションの再定義だ

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 7時0分

明らかに、TSUTAYAはある段階において全国に「カルチャー」を届けた。そして、それはまさに「インフラ」のようであった。

しかし、そんなTSUTAYAに、もっと強大な「カルチュア・インフラ」が現れる。インターネットと、そこで展開する各種サブスクサービスだ。CDやDVDを通して音楽や映画を全国に広めるのがTSUTAYAの「インフラ」整備だとしたら、私たちはネットで少し検索すれば、全国どこにいても好きな音楽や映画をその場で見ることができるようになった。

いわば、本物の「インフラ」が開通したのである。

そして、これがTSUTAYAに大打撃を与える。すでに多くのニュースで報じられているように、近年TSUTAYAの数は急激に減少し、最大手のフランチャイジーであった株式会社トップカルチャーが、レンタル事業から撤退するという動きも起こっている。

CCCの次なる変化は、企業ミッションに沿っている

では、新しい「カルチュア・インフラ」のカギはどこにあるか。TSUTAYAはそれを「文化を通じて交流できる場所」を作ることに求めているようだ。そこで、今回のTSUTAYA渋谷にやっと辿り着く。

TSUTAYAの強みは、リアルな空間を持っている、ということだ。これまではそのリアルな空間にコンテンツを並べ、それを全国に広げることが「カルチュア・インフラ」を作ることだったが、その役割がサブスクサービスに取って代わられるいま、企業のミッションを改めて見つめ直し、「リアルな場所」における新しい「カルチュア・インフラ」のあり方を模索したのが、今回のリニューアルだと私は思う。

具体的には、こういうことだ。今回メディアに発表された概要では、「5階・6階・7階の3フロアは、[…]コンテンツのファン同士がつながっていけるラウンジや書店、カフェを展開いたします」とある。

「ファン同士がつながっていける」というのが重要だ。近年、「推し」カルチャーが全盛だが、この流れを受けて、キャラクターカフェやポップアップショップ、また、アイドルによるインストアイベントなどが流行している。こうした試みが成功をおさめているのは、SNS上でのつながりを補完して、リアルな場所での「交流」を可能にする機能を持っているからだ。

SNS上では自分と推しを共有する人とコミュニケーションを取ることができるが、リアルで会える場所は、全国に少ない。コンテンツがたくさん揃っていても、リアルな場で「カルチャーを通じて交流する」場所は、まだまだ少ないのである。ここに「インフラ」を作る余地がある。

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