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債務超過「タカキュー」が陥ったスーツ低迷の険路 コロナ禍で店舗数半減、ファンド傘下で再建へ

東洋経済オンライン / 2024年2月1日 7時30分

コロナ禍でさらに悪化した業績を立て直すため、構造改革を進めてきた。その1つが不採算店の撤退で、2019年2月末に302店あった実店舗は、2023年12月末時点で124店舗まで急縮小している。賃料の減額交渉に加え、希望退職の募集も行ったことで2023年3月末に97名が退職した。

足元は値上げによる客単価の上昇と、注力しているカジュアル衣料を軸に回復基調だ。今2024年2月期の売上高は期初の想定を上回るペースで推移しているという。

しかし上場廃止猶予期間である2024年2月末までに自力での債務超過解消は難しく、外部からの資金調達は必要不可欠だった。調達関連コストが膨らんだことなどが響き、今期は黒字化の予想から一転、水面下となる見通しだ。これで6期連続赤字となり、明るい兆しは見えてこない。

売り上げ回復に向けて、営業施策にも力を入れている。商品面では、①カジュアルシフト、②オーダーシフト、③コア商品の強化、の3つを掲げる。

①は高い伸縮性で動きやすさが売りの「クロスストレッチパンツ」が好調。2021年秋の発売以来、累計売り上げ9万本のヒットとなった。③のコア商品は、高伸縮性や形態安定加工など機能性とデザイン性の両立にこだわったドレスシャツ(ワイシャツ)に力を入れる。

カジュアルや機能性衣料で客数をとりつつ、強みの接客力を生かせる②オーダースーツや、昨年9月にローンチした新ブランドで中・高価格帯の市場にも入り込み、客単価の上昇も狙う。構造改革で店舗数は減らしているが、顧客接点を戦略的にネット通販へと移すことで顧客の利便性を上げていくことを志向している。

老舗のブランド力を生かせるか

もっとも、こうしたタカキューの注力分野は、他の紳士服チェーン大手も力を入れている部分である。①カジュアルシフトでは、業界2位のAOKIが「パジャマスーツ」のヒットを機にカジュアルに注力している。②オーダーシフトでは、3位のコナカがオーダースーツの「DIFFERENCE」を一番の成長軸に据えて投資を強化中であるうえ、最大手の青山商事は「洋服の青山」全688店舗にオーダースーツを導入している。

今回スポンサーとなったグロースパートナーズは「タカキューが競争力の源泉としてきた『老舗としてのブランド力・顧客基盤』」に、同社が有する企業再生のノウハウを付け加え、企業価値向上を目指していくという。

トンネルから抜け出し、再び輝きを取り戻せるのか。長年にわたり、タカキューを愛用してきた顧客も行く末を見守ることとなる。

山﨑 理子:東洋経済 記者

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