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春闘「中小企業の賃上げ」が握るマイナス金利解除 「円安の行方」も春闘の結果に左右される?

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 7時0分

連合の芳野友子会長は価格転嫁と価格交渉、さらにはそのための環境整備が今年の春闘のポイントだと指摘する(記者撮影)

これまでになく注目度の高い春闘が幕を開けた。連合の芳野友子会長は1月25日の記者会見で「経済社会のステージを変えていく正念場」と賃上げへの意気込みを語った。

【ランキング】製品やサービスの価格に労務費アップ分の転嫁が認められにくい「ワースト10業種」

連合は、ベースアップと定期昇給を合わせた賃金引き上げ率の要求方針を昨年の「5%程度」から「5%以上」へと引き上げた。昨年の賃金引き上げ率は3・6%と30年ぶりの高水準になった。それを上回ることが目標だ。主要産業別組織も昨年を上回る要求方針を次々と掲げている。

足元では、物価変動の影響を除いた実質賃金の前年比マイナスが続く。円安インフレを機に、「賃金も物価も上がる経済」への転換を図るスタンスで、政労使が一致している。

大企業は中小企業の労務費転嫁をのむか

企業側では、経団連や経済同友会が賃上げの必要性を唱える。春闘に先駆けて賃上げを打ち出す企業もあるが、今年の春闘で大企業が問われるのは、自社の賃上げに加え、「発注者」としての行動といえる。

というのも、最大の焦点と目されるのは、賃上げが中小企業まで十分波及するかどうかであり、賃上げの原資を確保するうえで、労務費の価格転嫁が進むかどうかがカギを握るからだ。

世界的なインフレによる輸入価格上昇を受け、原材料費やエネルギー費用の価格転嫁は中小企業でも以前より進んでいる。ただ「労務費は自助努力で解決を求められているケースが多い」(芳野会長)。取引先との力関係があるゆえに、交渉のテーブルに着くことすらハードルが高い。

そのような環境を行政の力で変えるべく、内閣官房と公正取引委員会は昨年11月末、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(ガイドライン)を公表した。

発注者側に対し、労務費転嫁について経営トップが関与すること、下請けが要請しなくても協議の場を設けること、労務費転嫁の根拠資料を過度に要求しないことなどを明示している。

その中身は、傘下に中小企業の労組が多く、労務費の価格転嫁を訴えてきたJAM(ものづくり産業労働組合)の安河内賢弘会長が「JAMの議案書のような書きぶり」と驚いたほどだ。「あとは実効性をどう担保するか」(安河内会長)。公取などは各地域で説明会を開き、ガイドラインの周知に努めている。

ガイドラインには、コストのうち労務費の占める割合が高い業種への調査結果として、受注者が賃上げ分の値上げを要請して認められにくい業種「ワースト10」、認められやすい業種「ベスト10」も掲載されている。

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