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春闘「中小企業の賃上げ」が握るマイナス金利解除 「円安の行方」も春闘の結果に左右される?

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 7時0分

これほどまでに中小企業の労務費転嫁が取り沙汰されるのは、雇用の7割を占める中小企業で賃金上昇が実現しなければ、構造転換とはならないからだ。

中小では労組の組織率が低く、多くが春闘の蚊帳の外。連合は賃上げの機運を高めて波及させることで、労組の存在意義を示す狙いだ。加盟組合に対しても、経営側との交渉の場で自社の価格転嫁の受け入れについて議題とするよう促す。

日銀も春闘を注視している

春闘の賃上げと中小企業の労務費転嫁を別の角度から注視するのが日銀だ。物価上昇率2%の目標が賃金上昇を伴い実現すると見通せれば、マイナス金利を解除する方針を示してきた。

現状は、物価上昇率が2%を超える中、一時的な輸入インフレを反映しただけで賃金上昇が終わることを恐れ、大規模な金融緩和を維持している。目指す「物価と賃金の好循環」に至るには、賃金が物価に跳ね返ることが残るピースだ。

1月23日、金融政策決定会合後の会見。「2%実現の確度は高まっている」と述べた植田和男総裁の発言は、マイナス金利解除が近づいていると受け止められた。春闘の状況を見て判断に踏み切ると目される。

このような日銀のスタンスを連合も意識している。昨年12月には、連合三役による勉強会に日銀の企画局長を招いた。

連合の松浦昭彦会長代行は、金融政策と実質賃金の兼ね合いについて「円安の原因は日本の金利にある。マイナス金利から出口に踏み出すためにも賃上げは必要だ」と年頭の会見で述べた。「こんなに春闘の結果が注目される年は経験にない。賃上げがさまざまな政策に影響を与える」とかみ締める。

50年前とは逆の転換をもたらすか

労組は労働者が労働条件改善の交渉力を持つための組織だ。だが、日本では企業別労組が春闘で歩調を合わせて交渉力を高めるがゆえに、「マクロ経済と時々の賃上げの関係を中長期で考えるべき」(芳野会長)とのスタンスを取る。

約50年前のオイルショック時。日本国内のインフレをマイルドに鎮めたのが春闘だった。当時、世界的には物価と賃金の上昇が影響を及ぼし合ってインフレが加速した。一方、日本では労組が率先して賃上げ要求を抑制した。

今度は春闘が逆方向の転換をもたらすのか。2月以降、各労組が要求を提出し3月中旬に大手各社の集中回答日を迎える。中小企業で交渉が本格化するのはその後だ。

黒崎 亜弓:東洋経済 記者

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