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戦時でも「ダイヤどおり運行」ウクライナ鉄道の今 周辺諸国との重要な足、ウィーン直通の客車も

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 6時30分

UZの青い車両は、オーストリアの首都ウィーンまで直通している。ただ、西欧・東欧諸国は標準軌(1435mm)、ウクライナを含む旧ソ連諸国は広軌(1524mm、5フィート軌間とも)で軌間が異なる。国境の前後では軌間の違いを解決すべく、複数のレールを敷いて相互の行き来が可能となっているが、オーストリアまで車両を直通させるには台車を交換しなければならない。

台車の交換作業はウクライナの国境駅・チョープで行われている。原氏は「車両2両をジャッキで持ち上げて、台車を2時間半かけて付け替える」とその様子を語ってくれた。なお、ウィーン―チョープ間には標準軌車両による国際列車も運行されており、所要10時間弱、片道80ユーロ強(約1万3000円)でウクライナ領まで行くことができる。

もともと穀物の一大輸出国であるウクライナだが、ロシアによる侵攻で黒海航路が一時使えなくなった。UZではそうした問題を解決し、より効率よく欧州諸国に物資を輸出するため、いわゆるフリーゲージトレイン(軌間可変車両)導入の検討を始めている。

ロシア支配地域以外は安定運行

では、ウクライナ国内の鉄道ネットワークは現状どうなっているのだろうか。

2024年1月末時点の戦況は、親ロシア派が多いとされる東部地域をロシア軍が支配しているものの、過去数カ月にわたって戦線は膠着状態にある。そんな中で東部地域への鉄道乗り入れは不可能なものの、ウクライナがロシア軍をドニプロ川の東岸に追いやってからは、東部の州ヘルソン、ザポリージャ、ハルキウへの列車も走るようになった。首都キーウを出入りする列車も1日80往復に達するなど、ロシア支配地域以外では鉄道運行が順調に行われている。

ちなみに2014年にロシアが奪取したクリミア半島の鉄道事業は、ロシア本土と橋でつながったこともあり、ロシア国鉄(RZD)から独立した組織であるクリミア鉄道なる会社が運営している。

現在、戦況は膠着状態にあり、戦争の長期化が懸念されている。ロシアによる侵攻開始から2年、安心してウクライナの鉄道旅を楽しめるのはいつになるのだろうか。今はその日を心待ちにしたい。

さかい もとみ:在英ジャーナリスト

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