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65歳以上の「食べられない」を軽視できない理由 BMIをまめに確認、食べる機能の老化にも注意

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 6時50分

<食べる機能の低下や、口や歯、目のトラブル>

・硬いものが食べられないから、柔らかいものを選んで食べるようになった
・唾液が出ず、口の中が乾いていて、食べづらい
・歯が弱り(義歯が合わず)、よく嚙めない
・食べ物を飲み込んだあと、口の中に残っていることが増えた
・食事中にむせることが増えた
・味がわからなくなった
・食べ物がよく見えなくて、何を食べているかよくわからない
・下痢や便秘、頻尿などが心配で飲食を控えている
・食事にかかる時間が長くなり、食べると疲れる

<体調不良や病気、けが、それらの治療の影響、薬の副作用>

・持病の薬の量が多くて、薬でお腹がいっぱいになる
・食後に薬を飲まなければならないと思うと、ごはんを食べるのが憂うつ


・夜に眠れず、日中に眠くて、食事どころではない
・意識がもうろうとしていて、食事に集中できない
・呼吸が安定していなくて、食事どころではない
・食事の間ずっと姿勢を保っていられない

<その他>

・家族の介護や看護で自分の食事がおろそかになりがち
・身近な人が亡くなるなどでショックを受け心理的ストレスがある
・食料品の買い物が不便、できない
・お金がなくて、十分な食事を用意できない
・いつもひとりで食べていて食欲がわかない

食べる機能の老化を見逃さない!

次に食生活を見直すとよいタイミングについて紹介しますが、その前に、お口の「食べる機能」の老化について、ちょっと触れます。

食事のとき、食べ物を認識し、食べる意欲をもって口に運び、嚙んで、飲み込みやすい塊(食塊)をつくり、喉の奥に送るまでは「摂食(せっしょく)」、飲み込んで、食道→胃に送るのを「嚥下(えんげ)」といいます。こうした機能が衰えてしまうと、食べたくても食べられず、低栄養のリスクになってしまいます。

嚥下の機能が低下し、誤って気道に唾液や食べ物が入るのは「誤嚥(ごえん)」です。誤嚥は、高齢の人が命を落とす病気、誤嚥性肺炎の原因として、ご存知の人も多いかもしれません。

高齢社会になって、誤嚥性肺炎がクローズアップされ、「食事中にむせたら危ない」と注意する人が増えました。確かに、むせるのは誤嚥を防ごうとする体の反射ですから、むせが頻繁に出るようになったら、嚥下機能が衰えているサインと言えます。

摂食〜嚥下のあらゆる機能を「しっかり使う」

ただし、一般的には誤嚥(嚥下機能の低下)より先に、摂食機能の低下が目立つことが多いです。はじまりとして多い症状は「硬いもの×」。食生活が「柔らかいもの」に偏っても、別の物が食べられるうちは〝問題〟とは思われにくいのです。

肉や野菜を食べないでいると、嚙む力はさらに弱くなり、次々と好物が食べられなくなることで、食欲低下や低栄養、ひきこもり、孤立といった問題に発展することもあります。

予防のためには毎日、摂食~嚥下のあらゆる機能を「しっかり使う」が大切!

私が栄養ケアで関わっている歯科では、嚙む力が衰えたお年寄りに「黒豆の入ったおせんべい」を出して、嚙みしめる練習をしてもらっています。

嚙めないから柔らかいもの、ではなく、嚙む力を取り戻す練習をする。おいしいおせんべいだと、みなさん食べたくて、頑張って食べます。黒豆の皮が歯間にはさまったりして、難易度は高いけれど、おいしくて、みんなが一緒だと案外、食べられてしまう。

ギブアップする人には別の方法を提案しますが、練習できる人には、疲れない程度に、ゆっくり嚙みしめてもらっています。

川口 美喜子:医学博士、大妻女子大学家政学部教授

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