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苦境のコーセー「雪肌精」、社長肝煎り大刷新の成算 看板ブランドで「羽生&大谷」起用の深いワケ

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 7時30分

5月に発売40周年を迎える「雪肌精」。クラシックシリーズを刷新する(編集部撮影)

看板商品の運命を占う1年が始まる――。化粧品大手のコーセーは、3月1日からロングセラー化粧品「薬用 雪肌精」をリニューアルする。1985年に誕生した高機能化粧水は、コーセーを代表する商品の1つとして愛されてきた。これを発売40年目に初めて、容器デザインと処方成分を見直す。

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雪肌精は、小林一俊社長の父である小林禮次郎元社長が生み出したブランドだ。発売翌年の1986年に入社した小林社長にとっても、強い思い入れがある。

インバウンド剥落が痛手に

しかし、ここ数年の雪肌精は業績面で苦戦を強いられてきた。要因は主に2つある。

1つ目は、インバウンド需要の剥落だ。中国人の間で知名度が高く、2019年当時は爆買いの代名詞でもあった雪肌精だが、今はその反動減に苦しんでいる。2019年3月期に国内で158億円あった雪肌精の売上高は、2020年3月期に132億円、2021年3月期には81億円にまで縮小した。

2つ目は、ブランドテコ入れの失敗だ。2020年に前述のクラシックシリーズとは別に「雪肌精 クリアウェルネス」を投入することでリブランディングを試みた。しかし「『やってみなはれ』の精神で、私がデザインや処方(化粧品のレシピ)に口出しせずに挑戦したが、うまくいかなかった」(小林社長)。

実際、2022年12月機も雪肌精の国内売上高は73億円と底ばいが続く。クリアウェルネスの一部商品群は今後、「薬用 雪肌精」のシリーズと統合させる方針だ。

外部環境も厳しさを増している。主戦場であるドラッグストアのスキンケア市場は低価格帯商品の勢いが強く、雪肌精の属する3000〜5000円程度の中価格帯は押され気味の状況なのだ。

とくにロート製薬の「肌ラボ」や「メラノCC」といった1000円前後のブランドが勢力を拡大中で、売り場で存在感を放つ。インフルエンサーが製薬メーカーの化粧品として機能性の高さを評価したことが、さらなる人気を後押ししている。

ロート製薬の2023年3月期の肌ラボ関連売上高は前期比17.2%増の142億円、メラノCCは同66.6%増の115億円と絶好調。ドラッグストアの個数ベースで最も売れている商品が肌ラボ、2位がメラノCCと独壇場となっている。目薬「Vロート」が看板商品のロート製薬だが、今や全社売上高の6割超をスキンケアが占める主力事業となっている。

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