1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

再び『ヤバい日本経済』になるかもしれない 10年前と似た楽観ムードが訪れようとしている

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 8時30分

山崎さんとぐっちーさん(山口正洋さん)、3人でこの連載を始めたのは2012年秋のことだった。まさかこんなに長く続くとは思ってもみなかった。

2014年の『ヤバい日本経済』で予想していたこととは?

特に思い出深いのは、2014年夏に東洋経済新報社から3人の座談会本『ヤバい日本経済』を出版したときのことだ。今になって本書を読み返してみると、意外と面白い。オヤジ3人によるホンネの放談会で、あっという間に読み終えることができる。さすがに現物はもう売っていないけれども、キンドル版はまだ買えるようだ。

「女性の労働力を掘り起こせ」とか、「観光産業は日本の有力な経営資源」といった指摘は、10年前にしてはいい線行っていたと思う。「日本国債は暴落しない」「米国経済は強いが、中国経済は危うい」「新興国バブル崩壊後に、もう一度先進国の時代が来る」などの予言も、大筋で当たったと言っていいだろう。ただし「手金で買っているから、中国の不動産バブルは崩壊しにくい」という予測は、さすがに10年もたつと有効性を失ってしまったようである。

だんだんと思い出されてきたけど、この本が出た2014年当時はまだリーマンショックと東日本大震災の爪痕が深くて、日本経済の先行きは楽観しにくかった。何しろ「100年に一度の金融危機」と「1000年に一度の天災」のダブルパンチだったからね。

しかし2013年から始まったアベノミクスで、株価は上がり始めていた。円高是正も進んだので、経済界にも明るさが見えてきた。この勢いはホンモノなのだろうか。『ヤバい日本経済』の「ヤバい」とは危ないという意味ではなく、「最近の若者コトバでいうところの『凄い』という意味だ」と前書きにも書いてある。アベノミクスを契機に、日本経済は久々に本格的な上昇気流に乗ることができるのではあるまいか……。

ただし10年後の今から振り返ってみると、この本の「キモ」の予言は外れたことになる。この10年間の日本経済は、実質成長率で見ると年平均で0.5%程度にすぎない。超・金融緩和政策だけでは、物価目標2%を達成することはできず、日本経済に本質的な変化をもたらすこともできなかった。その間に少子・高齢化は確実に進行し、われらが通貨・円の実力も甚だしく低下してしまったようである。

しかし2024年になってみると、あの当時と似た楽観ムードが再び訪れているようにも見受けられる。日本経済は新型コロナウイルスによるパンデミック(感染爆発)を体験し、久々のインフレに見舞われた。ウクライナとパレスチナという2つの戦争に直面し、米中対立下で経済安全保障の問題にも対応しなければならない。

2024年は『再びヤバい日本経済』が訪れる?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください