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大阪で「1日1億円超チョコが売れる」催事の正体 阪急うめだ本店「毎日でも来たくなる」仕掛け

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 12時30分

髙見さんは、2008年にこのイベントのバイヤーになり、仕事を一通り覚えた頃から、今後のあり方を真剣に考えはじめた。

「初上陸、新作、とメディアが取り上げ、その年に売れても、翌年は別の新しいものに入れ替わる。着せ替え人形みたいに思えてきて。日本初上陸、関西初上陸、を毎年探すのが自分は本当に楽しいのかな、と」

チョコレートを理解するため、エクアドルやコロンビアなど、8カ国ものカカオ産地へ赴いた。自分がお客さまなら何が楽しいかをとことん考え、改善を重ねた。

会場を広くし、通路をできるだけ広くとるのは、「お客さまが、混みすぎだから帰る、と話すのを耳にしたから」だ。行列を自慢にせず「なるべくお待たせしないこと、行列ができたとしても、いかに心地よくお買い物していただけるかを、考えています」。

出店は、ブランドの自主性を重んじている。多くの催事は、注目ブランドに声をかけるなどしてイベントを作るが、阪急は異なる。バイヤーがブランドへ、企画の趣旨や思いを説明会などで先に説明し、それを受けたブランドが手を挙げ、参加したい企画をバイヤーに申し込むスタイルだ。

オリジナル企画が目玉

「今年はなに?」とファンが心待ちにする目玉は、オリジナル企画。ブランドの壁を超えてチョコが集まる売り場で、書店に例えれば、出版社ごとでなく「経済」「心理」といったジャンルごとに本が集めてあるイメージだ。「チョコのお菓子」「キャラメル×チョコ」「オレンジや柑橘×チョコ」などの売り場に、あらゆるブランドのチョコがずらりと揃う。

これらの企画は、高見さんをはじめ、社内から選ばれた10人の「バレンタインチョコレートプロジェクトメンバー」から生まれる。「楽しさ世界No. 1」を目指し、メンバーは真剣に議論。決まった企画には担当者がつき、商談から売り場作りまでの責任をもつ。

2024年の新企画「チョコレート ミーツ キャラメル〜極めるキャラメル〜」を担当する、フード販売統括部の春日桃花さんは、キャラメルカラーのコスチュームでカタログにも登場する。「最初は恥ずかしさもありましたが、関わってくださったブランドの方々の思いを伝え、お客さまに楽しんでいただきたいですから」と、明るい笑顔だった。

チョコレート文化を作ってきた

有名ブランドにも小さな新ブランドにも、分け隔てなく光を当ててきた。「ここは私の”ホーム”です。阪急で私たちのブランドを好きになった、という人が一番多いんですよ」(カカオハンターズ代表の小方真弓さん)。

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