「大会場でライブしたい」地下アイドルの大胆秘策 「個人では相手にされず…」ヤギヌマメイの挑戦
東洋経済オンライン / 2024年2月4日 8時1分
かなり大変なことではあるが、その甲斐あってこの3年間でアルバイトで生計を立てることから脱し、きちんとアイドルとしての売り上げやイベント事業で収益をあげ、自らも生計を立てられるように成長してきた。
フリーランスや起業家であれば頷く人も多いだろうが、最初の3年間は本当に厳しい時期である。そこを乗り切ったのは大きいだろう。
下に見られる「セルフプロデュースアイドル」の現実
そんなヤギヌマがアイドル活動5年目、コロナ禍において会社を立ち上げたのは一体なぜなのか。単刀直入に聞いてみた。
「活動を長くしていくうちに(渋谷の大きなライブハウスで)ワンマンをやりたいという目標ができたんです。でもフリー、ましてやソロのセルフプロデュースアイドルだと厳しいということに気がついたんです。会場を借りるには大きな事務所に入るか会社でのやり取りかの二択になってたんです」
ずばり言うと、フリーのセルフプロデュースアイドルは、まず相手にされない。信頼はもちろん、その大きなイベント会場が企業として、誰かもわからない個人を相手にしないのは、ある意味当然の対応であろう。
ましてや相手は大きく売れていないライブアイドルだ。簡単に交渉できるものではないだろう。
動かす金額や信頼の問題はもちろん、取引相手としていち個人では成立していないとみなされるのは、残念ながら仕方のないことだと言える。
「地下アイドルっていうのもそうだし、フリーのアイドルだと下に見られるというか、話し合いすらできないこともあったんです。でも会社の代表になったら、周りの人たちもそういう風に対応してくれるようになったので変わりましたね」
残念ながら彼女の言葉は、多くのフリーのアイドルが抱える壁、現在地を如実に物語っている。それを会社組織にすることで脱却を図ったのだ。
「実は会社を立ち上げる前に大手の事務所に入ろうと思ってオーディションを受けて合格したんです。『やった!』と思って話を進めていたら、高額な料金の養成所に入れられそうになったんですよ。それで『もう会社にするしかないな』と思って立ち上げました」
良し悪しは別としても、アイドルやアーティストの養成所ビジネスは存在する。デビューまでにいろいろな名目でお金がかかる事務所もあるのが現実だ。
もちろん、そういったお金がかかっても大手事務所でメジャーデビューできれば「大きな舞台に立つ」という夢が叶うメリットも存在するので、受け止め方は人それぞれだろう。
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