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港区マダムの「秘密の陶芸教室」で知る幸せのコツ ろくろを回して知る、人生を小さく豊かにする術

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 7時40分

陶芸教室に通えば、どうしたって作品は増えてしまう。陶芸はしたいし、陶芸サロンの皆にも会いたい、けれど家に荷物が増えるのはイヤなのです。いろいろ考えた結果、私は陶芸を始めるにあたって、自身でルールを設けました。

食器の数は増やさない。自作の器をひとつ持ち帰れば、家にある今の食器をひとつ手放す。さらに新しく器を作れば、自分が過去に作った器を手放す。「自分の作った作品は大切に残しておく」「食器は割れたり欠けたりしない限り、処分するものではない」という、常識やしつけといった、暗黙のルールに従って暮らせば、自分にとって快適な量を保つことができません。

こだわって選んだ食器はお気に入りばかりだし、自分で作った器は愛着が湧くしで、厳密に1in1outを守るのは難しいものの、このルールを設けておいたおかげで、捨てることへの罪悪感に苛まれることなく、自分にとってほどよい物量を保ちながら暮らせています。

小さな暮らしを始めたことで、モノが減って時間が増えました。それは私に快適な暮らしをもたらしました。最初は荷物を減らすということは、狭い家で快適に暮らすための手段だったはずです。なのにいつの間にか「モノが少ないこと」に価値を見出し、私にとって小さな暮らしが目的になってしまっていました。

家が狭いと掃除する時間が少なくてすむから自分の時間が増える、荷物を減らしたら探し物する回数も激減するから、さらに時間は増える。部屋数が1つしかないと電気代も少なくてすむからお金も浮く。

今まで私は、この増えた時間をたいして有意義に使うことなく、ただただスマホでSNSを眺めたり、マンガを読んだりしてきました。浮いたお金をコンビニでお菓子を買うのに使ってきました。

どっちも悪くないし、時間もお金も有意義に使おうが無為に過ごそうが、その人の勝手ではあるのですが、この浮いた時間とお金で陶芸を始めたことで、私の生活は見違えるほど豊かになりました。

自分で作ったマグカップで飲むコーヒーほどおいしいものはない

手ろくろを使って、自分で菊練りした陶芸用粘土を手でつまんで形にしていく。思ったような形がなかなかできない、じれったさも醍醐味です。初心者のへたっぴでいびつな器も、釉薬をかけて本焼きすれば、それなりの雰囲気を醸し出して仕上がるとこもイイ。

自分で作ったマグカップを持ち帰り、夫に「上手にできてるね」って褒めてもらう。そして、そのマグカップでコーヒーを淹れて2人で飲む。スーパーのPBブランドの安いコーヒー豆だったとしても、どんなおしゃれなカフェのコーヒーよりもおいしく感じます。

陶芸を始めてから、ちょっぴり荷物は増えましたが、マニキュアを塗るのをやめ短く切り揃えた爪を眺めながらキーボードを打つ日々は、以前よりもはるかに喜びに満ちています。

大木奈 ハル子:ブロガー・ライター

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