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大阪桐蔭がベンチ外選手にも役割与えた納得理由 PL出身の指導者が植え付けたプライドと責任感

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 11時0分

3年間心身を鍛えることができれば、いずれはプロの世界も見えてくると本気で思っていました。厳しい上下関係で精神的にきつくなっても、PL学園で野球ができることにプライドを持っていたのです。

チームへのプライドがモチベーションの土台になる

大阪桐蔭に入学が決まった生徒たちにも、同じような話をよくしていました。

「『この学校に入学ができた。このユニホームを着て、野球ができる』という喜びを感じながら、学校やグラウンドに来てほしい」

まだ、創立されたばかりの学校であるため、いきなりこのレベルを求めるのは難しいことはわかっていました。それでも、言い続けることで、学校や野球部にプライドを持つようになってほしかったのです。

これは、社会人でも同じだと思います。働いている企業や自分の仕事に、どれだけ誇りを持っているか。それこそが、日々のモチベーションの土台になるのではないでしょうか。

ただ、「甲子園に出る。日本一になる」と高い志を持って入学してきたとしても、その全員が試合に出られるわけではありません。

1991年当時、ベンチ入りメンバーは15名に限られていました。その後、少しずつ枠が増えていき、2023年夏の甲子園では過去最多となる20名がベンチに入ることができました。

それでも、強豪校になれば100名近い部員がいるわけで、全体の5分の4がスタンドから応援することになります。下級生であればまだ翌年がありますが、3年生にとっては最後の夏。6月頃にはメンバー発表が行われ、夏の大会には出場できないことがわかってしまいます。

また、ケガによって戦線離脱を余儀なくされ、不完全燃焼で高校野球を終える選手も出てきます。

「この野球部に入って良かった」と思ってもらう

言うまでもなく、高校野球は部活動です。試合で活躍する選手であっても、スタンドで応援する選手であっても、学校の生徒であることに変わりありません。

一人ひとりに、「この野球部に入って良かった」と思ってもらえることが、指導者である私の使命だと考えていました。

一番に考えたのは、部員全員が公平に練習できる環境をつくることです。ボール拾いや、声出しだけをしている選手がいないように、グラウンドや室内練習場、ウエイトトレーニングルームを使って、メニューを組んでいく。これは、PL学園で教わったことでもあります。

私が高校生のときから、PL学園は1年生でも練習することができていました。1980年頃の高校野球を考えると、部員が多い強豪校ほど、「1年生は夏までランニングと声出し。ちゃんと練習ができるのは、3年生が引退してから」という学校が多かったように思います。

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