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大阪桐蔭がベンチ外選手にも役割与えた納得理由 PL出身の指導者が植え付けたプライドと責任感

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 11時0分

今思えば、当時のPL学園のやり方は時代の先を行っていたのではないでしょうか。

チームの温度差をなくすのは一人ひとりの責任感

チームを強くするには一体感が大事ですが、その障壁となるのが、ベンチ入りメンバーとそうでないメンバーのチームに対する温度差だと私は考えていました。

そこで私が取り組んだのが、上級生一人ひとりに仕事を任せて、責任感を与えることでした。

「おれがいないと、野球部は回らない。休んでしまうと、誰かに迷惑がかかってしまう」と、一人ひとりが責任感を持つようになればチームへの愛着が湧き、「こいつらと一緒に優勝したい!」と思うようになるのではないかと考えたのです。

野球部の活動には、ボールやバットの用具管理、整理整頓、グラウンド整備、スコア整理など、練習以外にもさまざまな仕事があります。その一つひとつを、上級生一人ひとりに任せることにしました。

ボール係には、球数の管理を任せました。野球のボールは、もっともきれいな新球を試合で使い、試合で使えなくなったものをキャッチボール、ノックボール、バッティングボール、ティーボールと、一つずつ落としていきます。縫い目の糸がほつれてきたときには、カラーテープで覆うなどして補修をすることもあります。

今、それぞれ使えるボールが何球ずつあるのか。指導者が確認したときに、すぐに答えられれば責任者として合格です。ボールがなければ、練習も試合もできないので、ボール係の役割は非常に重要になります。

ボールの管理など以外では、3年生に下級生の指導を任せることもありました。総合的な野球の技術は仲間に劣っていても、走るのは得意、内野のフィールディングは誰にも負けないなど、部員一人ひとりには何らかの特徴があります。

秀でた武器を持っている選手には、「下級生に走り方を教えてやってくれ」とお願いしていました。

人に教えることによって、「自分も誰かの役に立っている」という実感を得やすく、チームの中での存在意義を高めることができます。最近の言葉を使えば、「自己肯定感」と表現することもできるでしょう。

こうしたことから自分の居場所を見つけると、チームに対する責任感が生まれてくるものです。

野球を心から好きな選手が一人でも多くいるチームになるように

甲子園で優勝することが大きな目標でありましたが、レギュラー陣だけが喜ぶ優勝では、高校野球の意味がありません。

大会に入れば、バッティングピッチャー、ボール拾い、対戦校の偵察など、サポートメンバーの力が必要になり、誰か一人でも欠けると、チーム運営は成り立たなくなります。スタンドで団旗を持つのも、野球部の立派な仕事です。

「野球を続けていて良かった」「大阪桐蔭の野球部で良かった」と思うことができれば、大学でも野球を続けたり、野球に関わる職業を目指したり、次の道に前向きに進むことができます。

私は、野球を心から好きな選手が一人でも多くいるチームのほうが、勝負所で力を発揮できるのではないかと思っています。

小さい頃は好きで始めた野球であっても、さまざまな壁にぶち当たり、嫌いになってしまうこともあります。嫌いにさせるようなことがあれば、指導者として失格だと私は考えています。

森岡 正晃:Office AKI 晃 代表

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