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GDPでドイツに抜かれても「日本の株高」続くなぜ 購買力ベースでは1970年代並みになった

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 10時0分

GDPでドイツに抜かれる一方で、株高なのはなぜでしょうか(写真:Soichiro Koriyama/Bloomberg)

日本がGDPでドイツに抜かれるのも、株価が急騰しているのも、円安という共通の要因によるものだ。ただし、前者は、長期的なトレンドであるのに対して、後者は、円高になれば崩壊する一時的な現象だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第113回。

日本はドイツに抜かれたが、株価は上昇

日本のGDPが2023年にドイツに抜かれることがほぼ確実だ。日本は世界第3位の経済大国だと思っていたが、4位に転落することになる。日本の国際的地位の低下は、日本の経済的パフォーマンスが悪いことの結果だから、日本にとって悪いニュースだ。

しかし他方で、株価はバブル崩壊後の最高値を更新しつつある。

これら2つは、矛盾するニュースであるように思われる。日本が弱体化しつつあるというのに、どうして株価が上昇するのか?

市場為替レートでドル換算した1人当たりGDPの推移を、日米独について見ると、日本の1人当たりGDPは、1990年代の中頃から成長しておらず、数年前からドイツに抜かれている。だから、経済全体のGDPについても、いずれドイツに抜かれるのは必然だった。

2000年に行われた九州・沖縄サミットのときには、日本は参加国中でドル表示の1人当たりGDPが最も高かった。しかし、2023年広島サミットでは最下位になってしまった。つまり、ドイツやアメリカには経済を持続的に成長させる要因があるが、日本にはないということになる。

冒頭に述べたGDPでの日独逆転は、このような経済パフォーマンスの差がもたらした当然の結果だと考えることができる。その意味で、日独逆転は、「驚くべきニュース」とは言えない。「いつかは起こることが起こった」というだけのことにすぎない。

円安の影響が大きい

ただし、次の2点に注意が必要だ。

第1は、上図に見られるように、ドル表示の日本の1人あたりGDPが最近の数年間で急激に減少したことだ。これは、2022年からの急激な円安の影響だ。いつかは起こることを、円安が加速したのだ。

第2は、株価が上昇を続けていることだ。

常識的に考えれば、経済が成長するからこそ、株価が上昇するはずだ。経済が成長しないのに株価だけが上昇するのは、いかにも不自然なことに思われる。なぜこのようなことが起きるのかを、以下で考えることとしよう。

まず、前項で述べたことをより詳しく見るために、為替レートの変化を見てみたい。

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