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災害対応「日本は省庁・組織間の調整が足りない」 元FEMA危機管理官に日本の震災対策の課題を聞く

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 11時40分

――一般的に日本の問題は何ですか。例えば行政組織間の調整に問題はありませんか。

一般に人々は調整を好まない。調整とは、自分の行動が100%独立してできなくなり、自分のやりたいことが他の誰かの行動によって制限される可能性があることを意味するからだ。

災害対策では「連携」が最優先に求められる。しかし、日本の当局は、技術的な修正に重点を置くことで、災害対応の調整に伴う政治的苦痛を回避してきたと思っている。

私はかつて、日本人グループをワシントンにあるFEMAの国家対応調整センター(NRCC)の見学ツアーに連れて行ったことがある。そこはFEMAの災害対策本部だ。

その時は災害が起こっていなかったので、NRCCは空の机でいっぱいだった。各机にはコンピュータのほか、災害時にどの機関がどの机に座っていたかを示すプラカードがあった。保健福祉省や沿岸警備隊、エネルギー省などだ。

日本人の訪問者はFEMAに非常に感銘を受け、コンピュータがどこで製造されたのか尋ねてきた。私はコンピュータの1台を見て、「これは日本製です」と答えた。

重要なのはハードウェアの充実ではない

そして、あなたたちにとって最も重要なのはコンピュータではないと説明した。それらは単なる普通のPCだ。重要だったのは、机の上に置かれた各省庁のプラカードだ。

大規模な災害が発生すると、連邦政府機関は代表者をNRCCに派遣し、彼らは各自のデスクに向かい、全員がチームとして協力する。各政府機関の代表者の多くはお互いをファーストネームで知っており、災害時に他の機関が何をすべきかを誰もが知っていた。それがFEMAの成功の秘密だった。

これとは対照的に、東日本大震災から数年後、私は日本政府が次の大規模災害への備えをどのように強化しているのかを視察するために日本に行った。私は、災害時に救急車、消防車、パトカー、その他の緊急車両が必要とする緊急燃料の供給場所を計画しているある政府職員に会った。

しかし、彼は非常にイライラしていた。なぜなら、数ブロック離れた別の省庁では他の職員が緊急車両そのものの配備計画を作成していたからだ。2人はなんとお互いに話し合うべきではないとされていた。

つまり、1人が車両の燃料をどこに置くかを計画する一方で、もう1人が車両の配備先を計画していた。災害発生時には誰もが力を合わせて行動することが期待されているにもかかわらずだ。

一言で言えば、ここに日本の問題がある。日本は災害対応における省庁間の連携を強化すべきだ。

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