世界の「サバ缶30種」食べ比べてみてわかったこと 日本は水煮が一般的だが、世界で多いのは
東洋経済オンライン / 2024年2月5日 14時0分
ちなみに、Ayam BrandとStabburetは、ホームページを見ても水煮缶は販売しておらず、代わりにトマト味は何種類か展開している。やはり、サバにはトマトなのだ。
ずらっと並んだ30缶を次々に開け、比較しながら食べていると、こうも多様な大きさと形があるものかと感心してしまう。
全体的な傾向としては、ヨーロッパのものはフィレになっていて、魚体は大小さまざま。一方アジアは筒切りのものが多く、これもだいぶ幅があるけれど、傾向としては魚体は小さめだ。
ヨーロッパのほうが脂が乗っていて柔らかく、アジアのほうがしまっている印象がある。この違いはどこからくるのか。もちろん食文化や調理方法のスタイルの違いもあるけれど、漁業の違いにもあるようだ。
日本のサバ捕獲状況は?
日本のサバ漁の状況を見ると、世界有数の輸入国でありながら、輸出国でもある。日本国内で人気があるのは、脂が乗った大型のノルウェー産。ヨーロッパ諸国では、水産資源保護の観点から、大きく育ったサバのみを捕獲するようになっており、その大きくて脂の乗ったサバを輸入して私たちが食べている。
一方、日本はサバの漁獲量世界第2位であるものの、まだ脂の乗っていない小型のものを捕獲して、アフリカやアジアに輸出しているのだ。これが持続可能な漁業かと問われたら、ちょっと悩む。
漁業の資源管理制度の違いも明らかで、ヨーロッパでは魚種ごとに漁獲可能量を決めてそれを漁業者や漁船ごとに個別に割り当てている(個別割り当て方式)のに対し、日本は漁獲可能量を定めているのは数魚種のみだ。その数魚種も、漁業者ごと個別に量を割り当てるのではなく、全体の漁獲高が上限に達したら操業を停止させるという方法(非個別割り当て方式)だ。
すなわち早い者勝ちなので、「ならば早いうちに、魚体が小さくても捕ってしまおう」という状況が起こりやすい。経済学で言うところの、コモンズ(共有地)の悲劇というやつだ。では、ヨーロッパ式の資源管理のほうが、漁業国としての歴史を積んできた日本よりも優れているといえるのだろうか。
「そう単純な話ではないんですよ」と教えてくれたのは先ほどのながさき氏。「ヨーロッパと日本では、そもそもの食文化や漁業の状況が違う。日本は魚種が多いから、そのすべてに関して漁獲可能量を定めるのは現実的でない。その代わりに、漁業を免許制にすることで入り口でコントロールをしているんです」。
この記事に関連するニュース
-
国産では自信を持ってお客に出せない…創業70年の名店が「サバの文化干し」をノルウェー産に切り替えたワケ
プレジデントオンライン / 2024年7月2日 10時15分
-
「海水温上昇」で日本の周りだけ魚が獲れないなぜ 世界では水産業が成長産業になっている現実
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 11時30分
-
ついに「近大マグロ」より味もコスパも良いマグロが登場か…養殖魚の大学間開発競争と「愛媛大スマ」の実力
プレジデントオンライン / 2024年6月25日 10時15分
-
マグロの刺身はなぜこんなに高くなったのか…高級料理屋・大衆向け・養殖の3市場が価格を上げる悪循環
プレジデントオンライン / 2024年6月24日 10時15分
-
カツオが食べられなくなる? 水産資源の「獲りすぎ」防ぐサプライチェーンの最前線
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月10日 6時15分
ランキング
-
1今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
4「衝撃でした」従業員も驚き「川崎重工業」の裏金問題 海自隊員らに飲食費など提供か 共同作業で懇親会も 規模は十数億円の可能性
MBSニュース / 2024年7月4日 11時45分
-
5海上の空港になぜ“山”がある? 実は世界初案件「長崎空港」がやたらデコボコしているワケ
乗りものニュース / 2024年7月4日 7時42分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください