台湾半導体「TSMC」、市況低迷下でも際立つ競争力 2023年10~12月期は前四半期比で増収増益に
東洋経済オンライン / 2024年2月5日 15時0分
半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は1月18日、2023年の通期決算を発表した。半導体市況の低迷が響き、同年の売上高は2兆1600億台湾ドル(約10兆1081億円)と前年比4.5%減少した。
【写真】TSMCは最先端のAI半導体の受託製造でも世界の先頭を走る。写真は3nmプロセスの主力工場である台南市の「Fab18」
設備稼働率の全体的な落ち込みに加えて、回路線幅3nm(ナノメートル)プロセスの生産体制の立ち上げ時期も重なり、2023年の粗利益率は前年の59.6%から54.4%に低下。最終利益は8385億台湾ドル(約3兆9239億円)と、前年比17.5%の減益となった。
一方、同時に発表した2023年10~12月期の四半期決算には業績反転のサインが現われた。同四半期の売上高は 6255億3000万台湾ドル(約2兆9273億円)と、前年同期比で横ばい、直前の7~9月期比では14.4%増加した。純利益は2387億1000万台湾ドル(約1兆1171億円)と前年同期比19.3%減少したものの、7~9月期比では13.1%増加した。
「惨憺たる稼働率」と自省の弁
「世界の半導体業界にとって、2023年は極めて厳しい年だった。わが社を含めて業界の先行き予想は軒並み外れ、設備稼働率は惨憺たる状況だった」。TSMCの魏哲家総裁(社長に相当)は、決算説明会で率直に自省の弁を述べた。
とはいえ、TSMCの業績はファウンドリー業界全体のパフォーマンスを上回っている。同社が開示した参考資料によれば、(DRAMやフラッシュメモリーなどの)半導体メモリーを除いた世界の半導体市場の規模は2023年に約2%縮小し、ファウンドリーに限れば13%も縮小した。
TSMCの製品分野別の売上比率を見ると、2023年はサーバー向けなどの高性能コンピューティング(HPC)が総売上高の43%、スマートフォンが同38%を占め、両者で全体の8割を超えた。その他の分野の売上比率は(あらゆるモノをネットにつなぐ)IoTが8%、車載用が6%、家電向けが2%だった。
注目すべきなのは、HPC分野のなかでAI(人工知能)半導体の売り上げが急拡大していることだ。総売上高に占める比率はまだ小さいものの、前年比5割増のペースで伸びているという。
(訳注:AI半導体世界最大手のエヌビディアは、最新鋭チップの製造をTSMCに頼っている)
2025年から2nmプロセス量産
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
予想を上回る2nmプロセス需要、TSMCが台南にも新ファブ建設か? 台湾メディア報道
マイナビニュース / 2024年7月2日 10時22分
-
台湾半導体「TSMC」、経営トップが6年ぶりに交代 劉徳音氏が会長を退任、社長の魏哲家氏が兼務
東洋経済オンライン / 2024年6月28日 17時0分
-
2024年の世界の半導体製造能力は前年比6%増、2025年も同7%増と拡大傾向 SEMI予測
マイナビニュース / 2024年6月21日 14時16分
-
TSMCの3nm生産能力の大半を主要顧客が確保、2026年まで受注継続 台湾メディア報道
マイナビニュース / 2024年6月13日 9時49分
-
TSMCの2024年5月の売上高は前年同月比30%増の2296億NTドル、好調が継続
マイナビニュース / 2024年6月10日 11時23分
ランキング
-
1今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
4「衝撃でした」従業員も驚き「川崎重工業」の裏金問題 海自隊員らに飲食費など提供か 共同作業で懇親会も 規模は十数億円の可能性
MBSニュース / 2024年7月4日 11時45分
-
5子供いない夫婦「相続で失敗しない」1つの方法 家庭裁判所で「調停」が必要になるケースもある
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください