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JR東海「リニア」トンネル工事進んでも静岡は闇 首都圏では順調だが、静岡は知事と泥試合へ

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 6時30分

リニア中央新幹線・東百合丘工区で進むトンネル工事の現場(撮影:尾形文繁)

地表にぽっかり開いた大きな穴を工事用エレベーターでゆっくりと下りる。距離にして約100m。その高低差は25~30階建てのビルに相当する。目まいがしそうな深さだ。

【写真を見る】どこまで進んだ?リニア中央新幹線東百合丘工区のトンネル工事。トンネル内には「←品川」「名古屋→」の文字が

地底に到着すると直径約14mの巨大なトンネルが広がっていた。その133m先には黄色いカラーのシールドマシンがでんと構える。リニア中央新幹線、東百合丘工区(神奈川県川崎市)で進むトンネル掘削の最前線である。

首都圏でも進むトンネル工事

リニア中央新幹線といえば、工事が始まらない静岡工区をめぐる話題ばかりが取り沙汰されるが、品川―名古屋間のほかの工区では粛々と工事が行われている。山梨県内では、リニア実験線を除く本坑としては初めて、全長約710mの第一南巨摩トンネルが2023年10月に貫通した。そして首都圏では、品川駅と神奈川県駅(仮称、相模原市に設置予定)を結ぶ第一首都圏トンネルのうち、東百合丘工区で調査掘進が完了した。

第一首都圏トンネルの全長は約37kmで、4つの工区に分かれる、そのうちのほぼ中間にあたる東百合丘工区の全長は約4.2km。全体が地下40m以上の大深度地下使用区間で、シールド工法により掘進工事が行われる。

シールド工法は地盤が比較的柔らかい都市部の大深度トンネル工事でよく用いられる。トンネルの地上に設けられた大きな穴からシールドマシンの部品を下ろし、地下で組み立てて掘進を始める。

鋼鉄製の筒状の機械に付けられたカッターヘッドが回転しながら前方の土砂を削り取り、ベルトコンベアで土砂を後方に運ぶ。掘った部分が崩れてこないように、掘進作業と並行してセグメントと呼ばれるパネルで壁を造る。工事完了後、シールドマシンは分解して地上に搬出される。ほかの工区で再利用されることもある。東百合丘工区では作業用の縦穴は完成後に非常口として用いられる。

2017年2月に縦穴の工事が始まった。その後、シールドマシンのパーツを地下に下ろして組み立てた後、2023年3月から9月までシールドマシンによる調査掘進を実施した。地表面の変位、振動・騒音、地下水位などを何度も計測しながらゆっくりと掘進し、半年かけて周辺環境への影響を確認した。

「調査掘進」は計画どおり完了

2020年10月、東京外郭環状道路の地下トンネル掘削工事で東京都調布市内の道路が陥没するというトラブルがあった。その原因の1つはシールドマシンが掘進過程で想定より多くの土を取り込みすぎたという施工ミスだった。リニアの工事で同じ失敗は許されない。

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