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JR東海「リニア」トンネル工事進んでも静岡は闇 首都圏では順調だが、静岡は知事と泥試合へ

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 6時30分

調査掘進では泥土圧や取り込み土量の管理、泥土の性状確認などにとくに注意を払った。地表に騒音計や振動計を置いて地表への影響を確認したほか、周囲の井戸もチェックして水位の変化の有無も調べた。「調査掘進は概ね計画どおり完了した」とJR東海・中央新幹線神奈川東工事事務所の小野口博之所長は話す。

現在、シールドマシンは133mの地点で停まっているが、今後はセグメントの搬入設備や掘削した土砂を搬出するベルトコンベアなどの設置といった準備工事の完了後、9月頃から本格工事となり再び動き出す予定だ。本格工事に際しては「住民と直接、工事関連の話し合いができるオープンハウスや24時間対応の受付ダイヤルを設置して住民のみなさまの不安が解消されるよう努める」(小野口所長)。工事完了予定は2026年12月である。

この工区ではおよそ20人が働いている。カッターヘッドで土を削る作業は地上のオペレーションセンターで操作している。

実際の作業では、名古屋方面に向けて1日あたり10mずつ掘進する計画だ。休日や予備日を加味すると1カ月で200m程度の掘進を予定している。1年で2.4km、2年で4.8kmという計算となり、2026年12月の工事完了は余裕を持った計画といえる。

1人で突っ走る静岡県の川勝知事

唯一工事が進まない静岡工区の状況はどうなっているのか。工事の許認可権限を持つ静岡県の川勝平太知事は「リニア推進派」を自認するが、その言動は「リニア反対派」と言わざるをえないものばかりだ。本来なら、知事の発言は県民の声を代弁したものであるべきで、そのためには県民との密なコミュニケーションは欠かせないが、川勝知事の場合は異なるようだ。

たとえば、南アルプスの環境保全に関して国の有識者会議が2023年12月に報告書をまとめており、会議には県もオブザーバーとして参加しているが、大井川流域の8市2町の首長たちは、「県から報告書に関して説明してもらったことはない」という。

流域市町の首長たちから、「ぜひ話を聞きたい」という要望があり、1月21日に有識者会議の中村太士座長(北海道大学教授)や国土交通省の村田茂樹鉄道局長らが静岡県を訪問、静岡市役所で難波喬司市長、および島田市役所で染谷絹代市長ら大井川流域の8市2町首長らと相次いで意見交換した。

どちらの会談も冒頭挨拶を除き非公開。会議後の報道陣への取材で、難波市長は、「南アルプスの環境への影響をどのようにして低減するかについて意見交換した」と話した。

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